神経心理学検査の限界

高次脳機能障害の検査として、神経心理学検査を我々は医師にオーダーします。
しかし神経心理学検査は、認知機能の測定に偏っており、性格変化や情動障害については測定ができていません。
ですので、神経心理学検査をバッチリ行ったからといって、その被害者の高次脳機能障害の全体像の半分も立証ができていないケースもありうるのです。
神経心理学検査は知的能力の検査に過ぎず、社会適応力を見る検査としてはまったく意味がない、という厳しい意見も医学界では存在します。

神経心理学検査の限界を示す一例として、WAIS-Ⅲがあります。WAIS-Ⅲは認知機能の検査として非常にポピュラーな検査ですが、WAIS-Ⅲで正常であったとしても、実は認知機能障害を否定することはできません。
というのは、WAIS-Ⅲでは、高次脳機能障害における記銘力障害や近時記憶障害の検出がほとんどできないためです。
また前頭葉機能を検査する、いわゆる前頭葉機能検査群ですが、これらの検査も前頭葉障害の程度を十分に反映することができない、と言われています。
ウィスコンシンカード分類課題テストなどは、前頭葉障害よりもびまん性脳損傷の程度を反映するものであると言われることもあります。

神経心理学検査は、あくまでも『高次脳機能障害の一部を反映したもの』に過ぎないということを、理解しておく必要があると思います。
神経心理学検査の結果が総じて良ければ高次脳機能障害としての程度が軽い、と考えるのは大きな落とし穴です。
神経心理学検査は高次脳機能障害をある側面から浮かび上がらせたもの、ととらえておくべきだと思います。
ただ、神経心理学検査が高次脳機能障害の立証において非常に重要な要素であることは間違いのないことです。

日常生活状況報告書、画像(意識障害)、神経心理学検査、これらを総合的に判断したうえで高次脳機能障害の認定がなされていることに留意しておくべきです。高次脳の立証はそれほど難しいことではない!とはとても言えない理由がここにあります。

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