頭部外傷の診断書をどう読むか

高次脳機能障害の対象となる頭部外傷の傷病名は、大まかに言えば脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、急性くも膜下出血の3つです。
急性硬膜外血腫は硬膜内の損傷が伴わないため、高次脳機能障害の対象とはなりません。

今回は、硬膜下血腫とくも膜下出血をとりあげ、頭部外傷における診断書をどう読むかについて、解説をしたいと思います。
まずは、硬膜下血腫とくも膜下血腫について。

急性硬膜下血腫

頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と、脳の間に出血がたまって血腫となったものです。
脳組織の挫滅、脳挫傷があり、そこから出血が表面、脳表と硬膜の間に流れ込み、硬膜下血腫となります。
脳挫傷の対角線上に急性硬膜下血腫が認められることも多くあります。

脳をボールに水の張った豆腐だとすると、豆腐の右の隅を叩くと、衝撃波により豆腐の左端が崩れます。
それと同様の原理で、脳挫傷部の対角線上にも脳損傷が生じることがあり、急性硬膜下血腫を生じます。

血腫による圧迫と脳挫傷のため、頭蓋内圧が亢進すると、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められます。
血腫による圧迫が脳ヘルニア状態にまで進行すると、死に至ります。
血腫の大きさと症状の程度により、緊急に開頭血腫除去術が行われます。
脳神経外科のガイドラインでは、血腫の厚さが1cm以上を手術の目安としています。

脳ヘルニアが進行し、脳幹の機能が失われたときは、手術での危険が高く、開頭手術を行えないこともあり、重症例では局所麻酔で頭蓋骨に小さな孔を開けて血腫を抜く穿頭血腫ドレナージ術が行われることもあります。
予後は、一般的に受傷時の意識障害の程度に比例しています。

急性くも膜下出血

脳を包んでいる髄膜の3層のうち、硬膜の内側にある薄いくも膜と脳の間に出血が広がったものをいいます。
通常、くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂を原因とする出血です。
外傷を原因とするときは、外傷性くも膜下出血と診断されています。

くも膜下出血は、びまん性軸索損傷と性質は同じです。
つまり、脳挫傷といった局在性の損傷がないにも関わらず、外傷性くも膜下出血が確認されることがあるのです。
くも膜下出血を手術で取り除く効果はほとんどないため、手術は通常は行われません。
出血は自然に吸収されます。

予後は合併する脳挫傷やびまん性軸索損傷の有無と程度によります。
脳脊髄液の流れが滞って、あとから外傷性正常圧水頭症をきたすこともあります。
また、当然に受傷時の意識障害の程度と比例します。

診断書をどう読むか

外傷による局所の脳組織の挫滅、衝撃により組織が砕けるような損傷、つまり脳挫傷となり、その出血が脳の表面、脳表と硬膜の間にたまると急性硬膜下血腫、さらに硬膜の内側にある薄いくも膜と脳の間に出血が広がっていくと外傷性くも膜下出血と診断されます。
つまり、これらの傷病名は出血の広がりを示していると理解できます。

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