上腕骨近位端骨折の被害者様への対応について

上腕とは肩関節から肘までの二の腕の部分を指し、上腕骨近位端とは肩関節近くの部分のことです。
上腕骨近位端骨折は、骨折の部位と骨片の数で重傷度や予後、治療法が決まります。
臨床上、上腕骨は骨頭、大結節、小結節、骨幹部の4つに区分されています。

交通事故では、肩を地面に打ちつけることで発症することが多く、高齢者の場合では転倒などの軽い外力により、手をついただけで骨折に至ることがあり、上腕骨近位端骨折は、股関節部の大腿骨近位端骨折、手関節部の橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折と並び、高齢者に多い骨折の一つです。
転位が認められる場合はX線透視下に徒手整復を実施、数週間のギプス固定を行います。
小結節、骨幹部では、いずれも観血的整復固定術の適用です。髄内釘やプレートによる固定が実施されます。
症状固定時期はの選定が非常に重要な障害の一つと言えます。
適切な症状固定時期を見誤れば、一定の障害は残存しているにもかかわらず、等級の認定が受けられないという事態に陥ります。
上腕骨頭が壊死していた場合では、人工骨頭置換術が行われます。 非常に重篤です。

上腕骨近位 グレード

立証について

上腕骨近位端骨折では、肩関節の機能障害、つまり可動域制限と骨折部の疼痛が後遺障害の対象となります。
認定される等級は、機能障害においては8級6号、10級10号、12級6号から、痛みの神経症状では、12級13号、14級9号が該当します。

転位=ズレの認められない骨折では、治癒しますので後遺障害を残すことはありません。
大結節骨折で、Kワイヤーやラッシュピン、小結節の骨折で、経皮的に髄内釘やプレート固定が実施されたものは、CTの3D撮影で変形癒合が立証されていて、なおかつ症状固定時期を誤らなければ、12級6号あるいは神経症状で14級9号が認定される可能性があります。

ここで重要なことは、後遺障害診断書に記載された可動域の数値によって等級が決定されるわけではない!ということです。
健側の2分の1以下なら問題なく10級10号が認定されるとてうわけではなく、可動域制限ではその原因を医証で立証しなければなりません。
つまり、医証と可動域制限に整合性が認められる場合のみ、可動域制限が後遺障害の対象となるのです。ポイントは骨癒合であり、転位の有無などを丁寧にチェックする必要があります。

自賠責損害調査事務所の審査は決して単純な審査ではなく、可動域の数値だけ10級10号の基準を満たしていたとしても、「そのような高度な可動域制限が発生するとは考えられない」として、12級6号もしくは非該当という判断がなされることもあります。
後遺障害診断書に記載された可動域の数値がすべてではない、と理解しておく必要があります。

専門家の皆様からのお問い合わせはコチラから
交通事故被害者の皆様からのご相談はコチラから
お問い合わせはフリーダイアルをご利用ください。