注意障害について
注意機能は、脳機能全体の土台の役割を果たしています。
注意機能が障害されると、他のすべての認知機能に影響を及ぼします。
別の言い方をすると、注意障害なしに記憶障害や遂行機能障害はありえないと言えます。
注意障害は、WAIS知能検査の下位項目、PASAT、TMT、K-ABC、ベンダーゲシュタルトテスト、フロスティッグ視知覚発達検査などの検査で立証していきます。
注意障害の症状
・外からの刺激で容易に注意をそらされる
・集中できない
・注意が散漫でミスが多い
・耳は聞こえているのに話しかけられても反応しない
・よく物をなくす
・持続力がない
・居眠りが多い
・物事をきっちり完成させずに次のことにとりかかろうとする
など、注意障害の症状は非常に多岐にわたります。
私が対応させていただいた中で強く感じる特徴的な症状は、『注意が散漫でミスが多い』という症状です。
高次脳機能障害の患者様では、ほぼ全員に見られる症状であるように感じます。
注意障害への対応
・集中力を高めるため、反復刺激によって注意機能を刺激する訓練を行う
・行動療法を取り入れた訓練を行う
・名前を呼ぶ、肩をたたく、など注意を引き付けてから指示をするように心がける
・何事も目標を設定する
・見通しを簡潔にし、スケジュールを明確にする
などの対応が効果的です。
まとめ
注意障害の立証は、高次脳機能障害の立証全体に影響する非常に重要なファクターです。
意識障害の立証、画像所見の獲得と同様に、非常に大切な要素です。
注意障害の立証で躓くと、高次脳機能障害の立証はやや暗礁に乗り上げることになります。
そのためにも、注意障害にの立証については粘り強く対応していく必要があります。
まちがっても、WAISのみの検査で終了、というような対応は避けなければなりません。