高次脳機能障害の認定についての考察

高次脳機能障害の認定3要件は、『傷病名』『画像所見』『意識障害』です。
これらの要件を具体的に読み替えると、
『脳挫傷など、局在性の脳損傷に至るほどの衝撃が頭部に加わり(傷病名)、それが画像によって確認することができ(画像所見)、そこにびまん性の脳損傷が認められない場合であっても、意識障害によって高次脳機能障害の原因たるびまん性脳損傷が推定できる(意識障害)。さらに、慢性期の画像で急性期の画像と比べて脳室拡大が確認できる(画像所見、意識障害)。よって、この被害者の高次脳機能障害は事故による頭部外傷を原因としているものと判断ができる』となります。

考察

高次脳機能障害の原因は、脳がびまん性に損傷を受けることです。
びまん性とは、『広範囲にわたる』という意味で、局在性と逆の意味となります。
局在性脳損傷は、脳が局所的に損傷を受けたもので、脳挫傷、急性硬膜下血腫などがあります。
クモ膜下出血も分類としては局在性脳損傷に分類されますが、中脳の周囲に出血が及んでいるものについてはびまん性軸索損傷の一つとして見なすことができます。

さて、なぜびまん性軸索損傷が高次脳機能障害の原因となるのか、という理由ですが、頭部の衝撃によって神経線維がびまん性に傷害された結果、脳の体積が減少し、その結果脳室が拡大します。
高次脳機能障害のうち、全般性認知機能の低下と情動障害はその多くがびまん性軸索損傷によるものであることが医学的に判明しており、そのため脳室拡大の程度と高次脳機能障害の程度は比例しています。
これをさらに踏み込んでいえば、『意識障害のレベルと高次脳機能障害の程度は比例している』ことになります。

しかし、びまん性軸索損傷は画像で映りにくく、脳室出血や脳内点状出血として具体的に画像に現れている場合は問題がないのですが、画像として現れていないケースも多くあります。
その際にびまん性軸索損傷を立証する医証が、『意識障害』となります。
びまん性軸索損傷が画像では確認できない場合であっても、意識障害が一定のレベルであったことが確認できる場合は、びまん性軸索損傷があったであろうと推定がなされるのです。
したがって、意識障害についての所見は、びまん性軸索損傷があったのかどうかを判断する画像所見としての価値があります。
それでは、局在性脳損傷の画像所見は価値がないのか?
そんなことはありません。
局在性脳損傷の画像所見は、当然にそれほど強烈な外力が頭部に加わったことを証明するものです。所見としての価値はあるのです。

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