高次脳機能障害の原因 びまん性軸索損傷について①

頭部外傷において、大きな脳挫傷を伴っていないにもかかわらず、長期の意識障害が続いて、場合によっては死に至るような重症例に結びつくことがあります。解剖によってこれらの原因が白質の軸索損傷であることが明らかとなり、またCTの発達などにも伴い、頭部外傷には大きく分けて局在性脳損傷とびまん性脳損傷の二つの系統があることが明らかとなりました。

高次脳機能障害の原因となる損傷は、びまん性脳損傷です。
びまん性軸索損傷は、交通事故で多発し、受傷後意識を消失する(意識障害を伴う)ことが特徴です。
医学的には、意識障害が6時間以内であるものを脳震盪、意識障害が6時間以上続いたものをびまん性軸索損傷として扱います。
びまん性軸索損傷の最重症型は、いわゆる植物状態で遷延性意識障害です。

軸索の損傷は脳組織の衝撃による歪みによって起こります。病理所見や画像所見は衝撃よりも遅れて現れますが、衝撃と同時に進行自体は進んでいるため、このときの状態を一次性びまん性脳損傷と言います。
局在性脳損傷(脳挫傷、頭蓋内の血腫など)に伴う脳腫脹、頭蓋内圧亢進によるびまん性軸索損傷は、二次性びまん性脳損傷と言います。

画像では点状出血程度で、一見すると正常に近いものがびまん性軸索損傷であると言われることもありますが、これは間違いであり、脳白質内の微小血管が損傷したことで生じる組織断裂出血は、局在性脳損傷に伴って生じることもあるのです。

つまり、大きな局在性脳損傷はないびまん性脳損傷はありうるが、大きな局在性脳損傷のみでびまん性脳損傷がない頭部外傷というものはあり得ない、と言えます。一定程度脳に衝撃が加われば、軽重はあるにしてもびまん性脳損傷は必ず伴っている、ということになります。

ただし、医学と自賠責の後遺障害認定の立証は違います。
医学的には確かにびまん性脳損傷が否定できないにしても、脳震盪(意識障害6時間以内)として判断される頭部外傷で高次脳機能障害が自賠責に認定されることは決してありません。
そこは留意しておかなければならないポイントです。

次回に続きます。
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