本日から五回にわたって、脳損傷における部位と症状についての関係を、わかりやすさを重視して記事にしてみたいと思います。
まずははじめに・・・
例えば後頭部に衝撃・圧力がかかったとします。その場合、損傷する部位は後頭部だと思われるかもしれません。確かに後頭部も損傷は受けるのですが、最も大きな損傷を被るのはその正反対の部位、すなわち後頭部の場合は前頭部に最も大きな損傷を受けます。
左脳の損傷
左脳を損傷すると、言語機能に影響が現れます。
言語野は左脳にあり、読み書きや話しをして相手の会話を理解する能力を司っています。
したがって、脳の左側を損傷すると、言葉にかかわるあらゆること(伝えたいことを話す、相手の言っていることを理解する、文章を読む、文章を書く、など)に障害が出るのです。
症状分類の記事でも書きましたが、
・うまく言いたいことを言えない(ブローカ失語)
・相手の言っていることを理解できない(ウェルニッケ失語)
・文字を書けない(失書)
・文字を読めない(失読)
これらの症状が、脳の左側を損傷することによって起こります。
話す、読む、聞く、書く、など、言語に関するあらゆるコミュニケーション全般についての障害を「失語症」と言います。したがって左脳に損傷が確認できる場合は、失語症は想定される障害ですので必ず失語症を調べる神経心理学的検査を受ける必要があります。
失読、失書についてもう少し詳しく説明しますと、
・失読(文字が読めない)
仮名が読むときの脳の働き・・・視覚野⇒左角回⇒ウェルニッケ領野
漢字を読むときの脳の働き・・・視覚野⇒左側頭葉後下部⇒ウェルニッケ領野
・失書(文字が書けない)
仮名を書くときの脳の働き・・・ウェルニッケ領野⇒左角回⇒体性感覚野
漢字を書くときの脳の働き・・・ウェルニッケ領野⇒左側頭葉後下部⇒左角回⇒体性感覚野
高次脳機能障害は、画像をチェックすることが大切です。
- 聴放線
- 横側頭回
(聴覚野、聴覚連合野) - Wernicke 領野
(ウェルニッケ領野) - 縁上回下部
- 中側頭回
- Broca 領野
(ブローカ領野) - 中心前回
(運動野、運動連合野) - 中心後回
(感覚野、感覚連合野) - 縁上回上部