高次脳機能障害 等級認定についての考察

高次脳機能障害の等級認定で、いつもわかりにくく不明瞭なのが、5級、7級、9級の違いです。
認定基準では、
・5級2号・・・神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

・7級4号・・・神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

・9級10号・・・神経系統の機能または精神に障害を残し、服する労務が相当な程度に制限されるもの

とされています。

特に軽易な労務? 相当程度? 非常に曖昧でわかりにくい基準です。

どのような観点から認定がなされているか?

高次脳機能障害の認定においては、
・意思疎通能力
・問題解決能力
・作業負荷に対する持続力(持久力)
・社会行動能力
これら4つの能力が、何個またはどの程度失われているか? という観点から等級認定がなされています。具体的には、

5級⇒・上記4能力のうちいずれか1つ以上の能力の大部分が失われている
   ・4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われている

7級⇒・4能力のいずれか1つ以上の能力が半分程度失われている
   ・4能力のいずれか2つ以上の能力が相当程度失われている

9級⇒・4能力のいずれか1つ以上の能力が相当程度失われている

上記のような観点から、等級の認定がなされています。

では、大部分、はまだわかりやすいにせよ、半分程度や相当程度というのは、どのように判断がなされているのでしょう?

医学的意見や日常生活状況報告書の分析

結論から申しますと、それらの明確な判断基準はよくわかりません。不明です。
ただ、判断をする側の立場を考えますと、必ずそれらを判断するための医証の提出を求めているはずなのです。
それらの判断材料に大きく作用しているのが、『神経系統の障害に関する医学的意見』と『日常生活状況報告書』であると、私は考えています。

医学的意見は神経心理学検査の結果をふまえて作成がなされますから、そういう意味では神経心理学検査の結果はすべての医証の基礎的な情報であり、当然に大切であることは言うまでもありません。

医学的意見や日常生活状況報告書の内容を分析しますと、大まかに言うと
・多少問題はあっても一人で行うことができる
・1回だけ周囲が確認や声かけをすれば行うことができる
・言葉だけでなく、直接的な手助けがなければ行うことができない
・手助けをしてもできない

この四つの区分けを、あらゆる行動について問いかけています。
これらの情報を集積的に総合判断をして、能力の喪失が大部分なのか、半分程度なのか、相当程度なのかが判断されていると考えられます。

立証において大切なこと

これらを踏まえて考えると、立証のため必要な神経心理学検査の依頼のオーダー、理想的な後遺障害診断書の作成の依頼は当然のこと、さらに、『医学的意見』と『日常生活状況報告書』に被害者の状態・症状を徹底的に落とし込まなければなりません。
こういうことがあり、そのために~の能力は失われているのだとしっかりと判断ができるように、きっちりと情報と医師の診断内容・意見を落とし込まなければなりません。

とかく後遺障害診断書や神経心理学検査の結果ばかりに目が行きがちですが、それらが大切なのはもちろんのこと、等級認定の分かれ目は、いかに被害者の実情と医師の診断内容をしっかり落とし込んだ『医学的意見』と『日常生活状況報告書』を作成できるか、にかかっていると私は考えています。

 脳挫傷画像

専門家の皆様からのお問い合わせはコチラから
交通事故被害者の皆様からのご相談はコチラから
お問い合わせはフリーダイアルをご利用ください。