頭部外傷、特に側頭部を強く打ちつけた際に、聴神経が損傷することがあります。聴神経が損傷を受けると、耳鳴りや難聴という症状が現れる場合があります。
耳鳴りは、後遺障害として認定がなされるためには難聴を伴っている必要があります。耳鳴りの立証は、ピッチマッチ、ラウドネスバランス、マスキングといった検査で行います。
難聴は、純音聴力検査(オージオメーター)を受けて立証します。オージオメーターは、7日間以上の間隔をあけ、計3回行います。後遺障害は、二回目と三回目の測定値の平均で認定がなされます。
難聴に関しては、私はできればABR(聴性脳幹反応)検査も受けておくべきだと考えています。ABRは、元は赤ちゃんが耳が聞こえているのか?を確かめるために開発がなされた検査法です。音の刺激で脳が示す電気生理学的な反応を読み取って波形を記録するシステムで、眠っていても検査可能です。
ABRは、被害者の意志でコントロールすることができないため、後遺障害の立証材料としては非常に有力であると私は見ています。それほど難しい検査ではないので、ぜひ可能であればぜひ受けておくべきだと思います。