自賠責の後遺障害認定についても、むちうちの初回申請など件数が多すぎるものを除き、医師が判断に関与しています。
ですが、自賠責の後遺障害認定についての考え方は、必ずしも現在の医学界における考え方とは一致していません。
わかりやすく説明すると、自賠責の考え方が医学界での見解と大きく異なる点は、『器質的損傷重視』という点です。

頭部外傷を例にすると、医学の世界では、脳挫傷やくも膜下出血など、器質的、実質的な脳の損傷とその後の高次脳機能障害の症状とは必ずしも一致を見ないというのが主流の考え方です。
わかりやすく言いますと、例えば脳挫傷などの器質的な損傷が見られなかったとしても、脳が揺さぶられたことによって高次脳機能障害の症状が発生することはあり得る、という考え方です。
実質的な脳の損傷が見られなかったとしても、実際の症状や受傷時の意識障害などを総合的に判断した結果、高次脳機能障害として診断がなされうるのです。

しかし、自賠責の考え方はそうではありません。医師が判断について関与しているのにも関わらず、です。
考え方が違う、というのは正しくないかもしれません。考え方は同じであったとしても、自賠責の場合は明確に線引きをしています。その線引きが、『実質的な脳の損傷が存在しているか』という部分です。
いかに神経心理学検査において高次脳機能障害を思わせる検査結果が出ていたとしても、脳に器質的、実質的な損傷が認められなければそれは『事故によって起きた高次脳機能障害』として自賠責は判断しないのです。(高次脳機能障害そのものを否定していないところがポイントです)

この点で、被害者の思いと自賠責の認定結果に大きな齟齬が生まれているのです。
どう見ても事故前と比べて様子がかわっているのに・・・そうどれだけ訴えたとしても、器質的損傷を立証できなければ自賠責の後遺障害の認定はないのです。
唯一、器質的損傷なしで認定をうけることができるのはむちうちですが、むちうちは器質的損傷の有無、要は画像所見がそれほど大きなポイントとはなりません。大きなポイントは、『症状と事故態様』です。
症状が事故後一貫して認められること、それについて主治医が認識していること、なおかつ物損が10万円程度などの軽微な事故ではないこと、これらがむちうちの場合は重要なポイントとなります。

少し話がズレました。
つまり、高次脳機能障害と言っても、器質的な損傷を立証できなければ、検査等で症状を医師に認識していただいていたとしても自賠責の後遺障害としては認識されないということです。
そのためには、正確に画像を分析し、また器質的損傷を徹底的にあぶり出して立証をしていかなければなりません。
なので、相談会では画像の検証が非常に重要となるのです。
これは、高次脳機能障害に限った話ではなく、むちうち以外では共通に言えることです。
早期に、決定的な器質的損傷を立証しておく、これが非常に大切なことです。
ですので、相談会では画像の持参を推奨させていただいております。

医師が行う医学的な診断(診断名)と、自賠責が認定する事故による後遺障害の判断は、似て非なるものです。
そこに着目する必要があります。
我々後遺障害の立証に携わる人間にとって重要なのは医学的知識ではありません。それなら、医学部の学生の方がはるかにすぐれています。そうではなく、我々にとって知っておかなければならない重要な知識・経験は、自賠責がその傷病について、事故による後遺障害としてどのように判断するのか、そのメカニズムについての知識・経験なのです。
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