今回はしめくくりとして、肩腱板損傷の確定診断について書きます。確定診断とは言い換えれば、腱板損傷を立証するために必要な立証材料です。これらの所見を集め、立証しなければなりません。
確定診断
①肩関節造影
造影剤が、断裂があれば肩峰下滑液包に漏出し、関節面断裂であっても断裂部に造影剤が入り込むことにより診断が可能。腱板損傷の95%が診断可能です。
滑液包面断裂と腱内断裂は診断することができません。腱板疎部損傷は確定診断が可能です。(動態関節造影で造影剤のbalooning像の確認ができれば腱板疎部損傷)
肩関節造影には、
・動かしながら撮影でき、設備があればVTRで撮影も可能
・MRIの性能や技師の力量に左右されにくい
・関節内圧を下げる治療を同時に行うことができ、痛みの除去など治療を同時に行える
などのメリットがあります。
②MRI
T2強調画像で、腱板断裂部に貯留している関節液を高信号で拾う。(白く描出される)
滑液包面断裂、腱内断裂も診断が可能です。
以上、六回にわたり骨傷を伴わない肩の傷病について、腱板損傷をメインに記事を書きました。肩の受傷は、早期診断が何より大切です。肩の受傷についてご質問などございましたら、どうぞご相談ください。