『労災補償 障害認定必携』という本があります。財団法人労災サポートセンターが発行しています。
この本は、後遺障害等級認定申請実務を取り扱う専門家であれば、必ず所持していなければならない本です。ですが・・・この本を持っていない、読んでいない専門家もかなり存在するのが現状なのです。
様々な専門家のホームページに、後遺障害についての説明などが載っていますが、それらの多くはこの『労災補償 障害認定必携』を情報源としているものがほとんどです。この本を読んでから様々な専門家のホームページを見てみると面白いですよ。労災認定必携大活躍だなぁって感じるはずです。
それくらいこの本は、多くの専門家に愛用されています。それはなぜか?それは、認定結果の理由書などを見るとわかります。
1.自賠責保険の後遺障害について
自賠責保険における後遺障害の等級認定実務は、自賠法第16条の三に基づき、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」により、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行うと定められており、この認定基準上、「負傷又は疾病がなおったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態であって、その存在が医学的に認められ、労働能力のそう失を伴うもの」を後遺障害の対象とする旨が規定されています。
上記はどういうことか・・・と言いますと、端的に言うと、自賠責保険の後遺障害等級認定実務は、労災保険の障害認定基準を準用します、ということなのです。
実際問題として、「そもそも労災保険の障害認定基準は炭鉱労働者を想定して作られたものであり、交通事故被害者の障害とはマッチしにくい部分が多い」「労災保険の障害認定と自賠責の認定とは差が生じることが多く、実際は認定ポイントも異なる部分が多い」「書類審査と対面審査の違い」「労災認定基準を研究したところで、自賠責の等級認定基準を理解できるほど甘いものではない」などなど、さまざまな問題点や指摘があることは事実です。ですが・・・
労災認定必携を研究すれば、「後遺障害とはどういう観点から認定されるのか?」という基礎的な考え方が理解でき(労働にどのような障害を残しているか?という観点)、おのずと「どういう表記が後遺障害診断書にあればマズイ」というのが感覚的に理解できるのは事実です。決してないがしろにしてはならないですし、専門家であれば文字通り必携であると思います。
書店では売っておりませんが個人でも購入可能ですので、興味のある方は労災サポートセンターのホームページをご覧になってください。