10級10号:右鎖骨折・右肩甲骨骨折(50代男性・兵庫県)

【事案】

原付バイクで交差点を走行中、後続の左折車に巻き込まれた。

【問題点】

骨癒合は良好であり、変形もほとんどわからない状態であった。遠位端ではないが、肩関節に可動域制限が残存しており、この原因をどうつきとめていくかが問題であった。

抜釘は行わないとの主治医の見解であった。

【立証のポイント】

まず、なぜ抜釘を行わないか、について主治医に面談をして確認をした。すると、「ブルガタ症候群」という不整脈のため、全身麻酔が危険である、とのご意見であった。

そこで、抜釘を行わない旨、また受傷時も大がかりな手術不可であった旨を診断書にまとめていただいた。

その後、MRI撮影を依頼し、放射線科医に鑑定を依頼。肩関節唇の損傷を明らかにする。

肩甲骨の精査を行うため、3DCTの撮影を依頼する。

決定的な原因はつきとめることはできなかったが、様々な所見を少しずつ積み上げていくことはできた。それらをすべてまとめあげ、申請を行う。無事に機能障害で10級10号が認定された。

(平成26年8月)

10級10号:左上腕骨大結節骨折(40代男性・徳島県)

【事案】

バイクで青信号の交差点を走行中、信号無視をした自動車に側面から衝突された。

【問題点】

相談時、症状固定時期について迷っておられた。

MRIが撮られていなかった。

通院中の病院が閉院してしまった。

【立証のポイント】

MRI、CTの撮影を依頼し、ただちに症状固定の依頼を主治医に行う。

画像について精査を行い、また肩の腱板についての精査も行った。

損傷を一つの角度からではなく、さまざまな角度から想定してみることが大切であり、本件はまさにその一例である。

症状固定時期について主治医の理解をいただき、また可動域測定の立会いをさせていただき、正しい計測がなされているかどうかを確認させていただいた。

機能障害で、10級10号が認定される。

(平成26年7月)

併合9級:右肘関節脱臼・右橈骨遠位端骨折(70代女性・大阪府)

【事案】

原付運転時、二段階右折のため直進しているところを、追い越そうとした後方の車に衝突された。

【問題点】

MRIが撮られていない。

主治医の理解が得られていない。

治療期間が長引いており、適切な症状固定時期を失う恐れがあった。

【立証のポイント】

早急にMRIの撮影を依頼し、その画像を放射線科医に分析とていただく。

その後、適切な症状固定時期を選定し、主治医と症状固定時期について面談。

症状固定時期についてご理解をいただき、その後症状固定を行う。その際には可動域検査に立会いの許可をいただき、正しい計測がなされているかを確認させていただいた。

肘関節で10級10号、手関節で12級6号が認定され、併合9級となった。

(平成26年6月)

10級10号:左鎖骨遠位端骨折(40代女性・京都府)

【事案】

原付運転中、対向自動車が急に右折してきて衝突した。

【問題点】

鎖骨に偽関節が疑われた。

骨癒合について、新たな画像所見を撮り、なおかつその状態について医師と共通の認識を持つ必要性があった。

【立証のポイント】

MRI、CTの撮影を依頼し、その後主治医と面談、偽関節についての認識のすり合わせを行う。

鎖骨の変形については、写真撮影を行った。ただし、プレート固定がなされ関節授動術を受けており、変形については認定は難しいと思われた。

症状固定時には後遺障害診断書に、間違いのない可動域についての記載を求め、偽関節についての所見、変形についての所見をご記載いただいた。

変形としての認定はなかったが、機能障害で10級10号が認定される。

(平成26年6月)

12級6号 :TFCC損傷 異議申立(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで直進中、左路外から飛び出してきた自動車と衝突。その際、右膝を自動車とバイクに挟まれ膝蓋骨、脛骨を骨折、さらに転倒の際に左手をつき手根骨(大菱形骨・小菱形骨)と橈骨形状突起(剥離骨折)を骨折。

【問題点】

事前認定での結果は膝の疼痛で14級9号。この結果をもって相談会に参加された。
後遺障害診断書上、手首に関する記述は診断名のみでまったくのスルー。もちろん計測は未実施、MRI上も異常なし。医師は膝の後遺症だけを捉えているよう。
相談会で即座に手関節の可動域を計測したところ、手首の屈曲・伸展には明確な制限を残していた。そして、MRI画像を観て「これはTFCC損傷の高信号では?」と読み取った。

【立証ポイント】

受任後、再度MRI検査を行い、画像鑑定を行った。案の定、手根骨骨折を起因としたTFCC損傷が明らかとなった。橈骨茎状突起部の剥離骨折からも尺骨茎状突起の突き上げを促し、TFCCの損傷に繋がったとも説明可能である。続いて主治医に診断名の追加と手関節の計測を促し、新たに診断書を完成させた。
再申請の結果、12級6号が新たに認定、膝も等級を12級13号に引き上げて併合11級とした。(膝の等級変更はまた別の機会に解説したい。)

いかに事故相談での画像読影(能力)が重要か痛感した次第。医師も日々の治療に忙しかったり、専門外であったり、手術や治療の必要が無くなった以降は・・・じっくり画像を観ていないことがあります。MRIから判断すべきTFCC損傷は医師から見落とされやすい症例の一つです。本件は典型的な例と言えます。

(平成26年9月)

10級7号 :ベネット骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、交差点で並走自動車の急な左折に巻き込まれ転倒したもの。肋骨が一本折れた。さらに右手の第一中手骨を骨折した。これがベネット骨折。

【問題点】

ベネット骨折処置の基本通り、折れた中手骨を鋼線で固定(経皮ピンニング)してシーネで外固定した。後はなるべく関節硬縮を起さないよう、早めの可動域訓練が望まれる。しかし、相手運転手勤務の会社が社有車の保険を使ってくれず、相手保険会社も一括払い拒否状態。治療費の心配から健保を使用し、自宅でのリハビリを中心とした。
本人は慰謝料などは無理と、あきらめムードで相談にいらした。

【立証ポイント】

そんなバカな話は許さない。弁護士から相手の会社及び、相手保険会社への対応を任せ、こちらは直ちに病院同行した。そして親指の可動域計測に立会い、MP屈曲・伸展はもちろん橈側外転・掌側外転までしっかり計測いただく。さらに写真と申述書で可動域制限を丁寧に説明した。
ベネット骨折はその性質から癒合しづらく、可動域制限も頻発する骨折です。そして親指の可動域制限は10級と高いのです。
(平成26年8月)

10級10号 :モンテジア骨折・橈骨遠位端骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、T字路で対向自動車が急に右折、衝突したもの。初期診断名は左足関節脱臼骨折、左脛骨天蓋骨折、右橈骨遠位端骨折、モンテジア骨折、外傷性肝損傷、腹腔内出血、びまん性脳損傷(脳の障害はなし)・・以上、左脚と右腕に障害必至の重傷である。

【問題点】

モンテジア骨折(尺骨骨折による橈骨の肘関節脱臼)による肘関節の可動域はほぼ正常に回復、回内・回外も12級の基準以下、わずかの変形癒合が確認できる。これでは神経症状の残存による12級13号が限界。なんとか橈骨遠位端骨折による手関節の可動域制限で10級10号としたいが、わずかに基準外。他には正中神経の軽度麻痺によるしびれ、手術痕である醜条痕が残存した。

【立証ポイント】

手関節の掌屈・背屈の可動域は10級の基準である1/2制限にわずか5°オーバーしている。この場合、参考運動である橈屈・尺屈が1/2となれば繰り上げ10級となる。ここでモンテジア骨折の影響が大きく寄与する。モンテジア骨折により、尺骨の長さが微妙に伸長、やや転位もあるため、手関節、特に尺屈の可動域に影響があった。この参考運動の1/2制限による繰り上げで10級を確保した。なによりのポイントは上記すべての計測の意味を医師に説明し、理解を得た上で正確に記録したことに尽きる。
ちなみに尺骨の変形は「15°以上の屈曲」はなく、正中神経麻痺もしびれを残す程度のため、等級とはならなかった。もちろん手術の傷も掌以下の面積で非該当。

2か所の損傷を複合的に一つの障害として観察していくこと、さらに複数の症状について、最も高い等級にまとめる設計図を描くことが大事です。

(平成26年5月)

※併合のため分離しています

併合9級:橈尺骨骨折・肩甲骨骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、交差点で左方より一時停止無視の自動車と衝突、左橈骨遠位端骨折、左尺骨開放骨折、肩甲骨骨折、第一胸椎横突起骨折、右腓骨外顆骨折、第7頚椎骨折、肋骨骨折、鼻骨骨折となる。骨折箇所の多さでは過去1、2位の多さ。

【問題点】

骨癒合は概ね良好ながら、ここまで折れると体幹バランスの異常、様々な神経症状が残存する。具体的にはめまいやふらつき、体幹の傾斜、頭痛、軽度の顔面神経麻痺と嗅覚障害もあるよう。これらを評価する等級は12級13号が限度、さらに本人の生活上の問題から早期に症状固定し、職務復帰を急ぐことになった。

【立証ポイント】

可動域制限を正確に計測するのみ。まず手首10級+肩関節12級で上肢は9級を確保。嗅覚について、専門医の診断では事故との因果関係に疑問はあったが、これだけのケガなので14級の認定は得た。その他の部位について、可動域は正常値レベルに回復、さらに癒合良好のため神経症状も12級に届かず。このように上肢以外は14級のオンパレード、あと一つ上位併合させることができなかった。しかし本人が解決を急ぐため、即弁護士に引き継いだ。
私としては回復も認定等級も中途半端な印象が残った案件であった。

(平成25年5月)

併合9級:橈尺骨骨折・肩甲骨骨折(40代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、交差点で左方より一時停止無視の自動車と衝突、左橈骨遠位端骨折、左尺骨開放骨折、肩甲骨骨折、第一胸椎横突起骨折、右腓骨外顆骨折、第7頚椎骨折、肋骨骨折、鼻骨骨折となる。骨折箇所の多さでは過去1、2位の多さ。

【問題点】

骨癒合は概ね良好ながら、ここまで折れると体幹バランスの異常、様々な神経症状が残存する。具体的にはめまいやふらつき、体幹の傾斜、頭痛、軽度の顔面神経麻痺と嗅覚障害もあるよう。これらを評価する等級は12級13号が限度、さらに本人の生活上の問題から早期に症状固定し、職務復帰を急ぐことになった。

【立証ポイント】

可動域制限を正確に計測するのみ。まず手首10級+肩関節12級で上肢は9級を確保。嗅覚について、専門医の診断では事故との因果関係に疑問はあったが、これだけのケガなので14級の認定は得た。その他の部位について、可動域は正常値レベルに回復、さらに癒合良好のため神経症状も12級に届かず。このように上肢以外は14級のオンパレード、あと一つ上位併合させることができなかった。しかし本人が解決を急ぐため、即弁護士に引き継いだ。
私としては回復も認定等級も中途半端な印象が残った案件であった。

(平成25年5月)

8級相当:肩関節+肘関節+手関節の機能障害(60代男性・茨城県)

【事案】

歩行中、右方から来た車に衝突され、右上肢について「右肩関節脱臼」、「右肘打撲」、「右橈骨遠位端骨折」を受傷したもの。

【問題点】

整骨院に偏った治療を行い、柔道整復師も適切に整形外科を案内しなかったことから、右上肢全体がズデック骨萎縮の状態に。受傷した三大関節全てに著しい機能障害(10級レベル)が残存。

1.肩関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?
2.手関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?
3.肘関節の損傷は著しい機能障害を根拠付けるか?

1.2.については器質的損傷の状態から正確な計測が行われれば10級は手堅いと見るが、傷病名が「右肘打撲」にとどまる肘関節についても10級が認定されるか。整骨院の施術にも相当な問題があると考えられるため慎重に申請する必要があるだろう。

【証明ポイント】

1.3大関節全てについて正確な計測の実施を受けた。
2.3大関節それぞれについて機能障害が生じた理由を後遺障害診断書に詳細にお示しいただいた。特に肘関節については重点的に説明を受けた。

以上の結果、肩・肘・手、それぞれについて10級が認められた。

(平成25年6月)

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後遺障害実務に詳しい方はおそらくここで「ん?」と思われたことでしょう。併合は通常1回であるため、10級+10級で併合9級になるのではないか?と。しかし本件は8級相当。なぜでしょうか。

・・・実は本件には隠れルールが適用されています。以下、認定文から抜粋します。

『・・・前記1.2.および3.の障害は、同一系列の障害ですが、認定基準上、1上肢の3大関節のすべての関節の機能に著しい障害を残すものは第8級に準ずる障害として取り扱うこととなる・・・』(別表第二備考6)