併合5級:高次脳機能障害(50代男性・兵庫県)

【事案】
信号のない交差点を自転車で走行中に、出合い頭衝突で自動車にはねられたもの
【問題点】
すでに高次脳機能障害として9級10号が認定されていた。
今後、それを上回る等級が異議申立で認定されるかどうかを、その当時の資料のみで判断せざるを得ず、その点が難しい案件であった。
【立証のポイント】
専門医をご紹介し、実施されていない神経心理学検査の実施を依頼。
その結果、意思疎通能力、持続力・持久力については、既に認定されている内容よりも障害が大きいことを立証できる見通しがついた。
さらにT2スター検査で画像所見を補強。また、入院当時のカルテを分析し、当時の意識障害について分析した。
日常生活状況報告書を再作成し、異議申立においては4能力について神経心理学検査結果を踏まえ、改めて検証する形をとった。
特に、意思疎通能力、持続力・持久力については詳細に申立を行い、結果は併合5級(高次脳機能障害として5級2号)が認定された。
                                      (令和元年10月)

併合4級:高次脳機能障害(30代男性・兵庫県)

【事案】
400ccバイクで走行中、センターラインオーバーしてきた対向車に正面衝突されたもの。
【問題点】
頻繁にてんかんが起こっていたため、症状固定時期を慎重に見極める必要があった。
また、右肘頭開放骨折、右大腿骨顆部開放骨折、左肩甲骨骨折も伴っており、それら整形の分野の治療、立証も必要であったため、症状固定までのスケジュールを被害者にとって無理のないものに計画を立てる必要があった。
【立証のポイント】
左側頭骨陥没骨折が確認できたため、言語障害、難聴の有無については特に細心の注意を払って立証を行う。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、必要と考える神経心理学検査の実施をオーダー。
また、てんかんについては脳波検査を実施し、症状固定時期について医師と慎重に協議していった。
同時に、整形の分野の障害についても、抜釘後適切な時期にそれぞれ症状固定とし、後遺障害診断を受ける。
また、頭部のT2スター検査を依頼し、左頭頂葉の皮質下白質に脳挫傷後の委縮とヘモジデリン沈着の存在を突き止める。
高次脳機能障害で5級2号、整形の分野の障害と併合で併合4級が認定された。
                                 (平成31年4月)

併合6級:高次脳機能障害(60代女性・大阪府)

【事案】
信号のない横断歩道を徒歩で横断中に、自動車にはねられたもの。
【問題点】
意識障害の所見が、画像等から考えると軽く記載されていると考えられた。
半側空間無視、左難聴を伴っていたため、それぞれの検査通院が必要であった。
【立証のポイント】
意識障害の所見について精査するため、カルテを取り付け、受傷後間もない頃の状態を分析した。
併せて画像所見を検証し、そのうえで医師面談を行い、意識障害について追記、訂正を求めた。
高次脳機能障害の専門病院にて必要と思われる神経心理学検査をオーダーし、実施を依頼する。
半側空間無視についてはBIT検査を依頼、難聴については耳鼻科でABR検査を依頼する。
意識障害の所見について若干の不安があったので、T2スター撮影を医師に依頼し、画像所見を補強した。
高次脳機能障害で7級4号が認定され、醜状痕、難聴等で併合6級が認定された。
(平成30年4月)

5級2号:高次脳機能障害(20代男性・兵庫県)

【事案】
原付で交差点を走行中に、右折してきた自動車に跳ね飛ばされたもの
【問題点】
脳挫傷に伴い、左頭蓋底骨折が確認されたため、嗅覚や味覚の障害が予想された。
脳挫傷は両側前頭葉に認められ、また脳の広範囲に硬膜下血腫、くも膜下出血が確認されたため、予想される障害は多岐にわたり、そのため神経心理学検査は多種様々な連鎖が必要であると考えられた。
また、前頭葉を損傷していることから、情動障害も予測された。
【立証のポイント】
情動障害の立証のため、事故当初からご家族にはメモや日記をつけていただくことをお願いした。
また、被害者様が自傷行為を行ったため、心の面でのサポートが必要不可欠であり、無理な検査日程はなるべく避けるように配慮した。
画像所見から、症状は多岐にわたることが予測されたため、予測し得る症状について、それらに対する神経心理学検査のメニューを作成し、専門医をご紹介。その専門医に検査メニューの実施をオーダーした。
情動障害については、書き溜めていただいたメモや日記を基に、医師に『神経系統の障害に関する医学的意見』において医師の所見と意見をお書きいただき、それを補強する形で日常生活状況報告書を作成した。
慢性期の脳の状態を確認するため、T2スター撮影を医師に依頼。
脳の萎縮とびまん性軸索損傷後の出血痕が描出され、画像所見を大きく補強された。
嗅覚味覚については、オルファクトメーターとろ紙ディスクで立証。いずれも味覚嗅覚減退で、14級相当が評価される。
これら一連の立証が功を奏し、併合5級(味覚嗅覚との併合)が認定された。
足かけ一年半にわたる立証作業であった。
(平成30年4月)

5級2号:高次脳機能障害(20代女性・大阪府)

【事案】
信号のない交差点を自転車で走行中に、信号無視の自動車にはねられたもの。
【問題点】
受傷から2年以上経過しており、しかしながら高次脳機能障害については何も検査がなされておらず、早急に高次脳機能障害の評価を専門医に受ける必要があった。
【立証のポイント】
画像を分析したところ、右側頭骨骨折、くも膜下出血、硬膜下血腫、急性脳浮腫が確認できた。損傷が非常に広範囲で、脳の左半分がほぼ損傷を受けており、体麻痺等が残らなかったのも奇跡的である、と医師もおっしゃっていた。
症状としては、『喜怒哀楽が激しい』『質問に対し的外れな答えが多い』『周りを気にしない不必要な発言が多い(太っている人に向かって、太っているね、と発言してしまうなど)』『笑い出すと止まらなくなり、診察が不可能になる』『物がなくなるとすぐに誰かのせいにし、誰かが盗んだと大騒ぎをする』などがあった。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、必要と考えられる検査をピックアップし、神経心理学検査の依頼・実施を医師にお願いする。
ご家族からも、特に情動障害の部分について聞き取り、日常生活状況報告書等にまとめていく。
神経系統の医学的意見、においても、検査で数値化されない障害について医師にしっかりとご記載いただいた。
5級2号が認定された。
(平成29年1月)

7級4号:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
自転車で歩道を走行中に、右折車にまきこまれたもの。
【問題点】
医師からの紹介の案件であったので、治療経過等には問題がなかったが、意識障害の所見が画像等から考えると軽すぎるのではないか?という問題があった。
【立証のポイント】
受傷当時の状態を見ておられる被害者のご家族から、当時の被害者の状態を聞き取りさせていただく。
また、並行して救急搬送された病院のカルテを取り付け、当時の被害者の状況について精査した。
それらの結果を元に、救急搬送先の医師と面談を行い、当時の意識障害の状態について意見交換を行う。
あくまで意識障害の所見の訂正は難しい、とのご見解であったが、考えられること、というような内容で別途診断書の発行をしていただいた。
受傷時の画像を分析したところ、右頭頂葉・側頭葉脳挫傷、左頭頂葉白質のびまん性軸索損傷、くも膜下出血、硬膜下血腫を確認。
念のため、慢性期にはT2スターで画像所見を補強した。
症状としては、『記憶障害』『易怒性』『話がまわりくどく、考えを相手に上手く伝えられない』等の症状があり、神経心理学検査と、情動障害については克明な日常生活状況報告書で立証。
7級10号が認定される。
(平成29年8月)

9級10号:高次脳機能障害(当時7歳男性・大阪府)

【事案】
7年前の7歳の時に、信号のない道路を横断中にトラックにはねられ、受傷したもの。
【問題点】
相談時にはすでに受傷から7年が経過していたため、資料等の取り付けが難航した。
また、受傷当時7歳であったため、事故前との比較が困難であった。
【立証のポイント】
受傷時の画像では、脳挫傷、硬膜下血腫が確認できた。
症状について、事故前との比較が事実上不可能であったので、被害者を観察していて気になる点をご家族や学校の教師等から聞き取り、まとめてみた。
その結果、『物忘れが多い』『授業中や帰宅してからなど、傾眠傾向にある』『音に対して非常に過敏になっている』『易疲労性』などの症状が浮き彫りになってきた。
それらの症状を踏まえたうえで、高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、医師と相談の上、14歳に適した神経心理学検査を実施していただいた。
注意障害等に障害があると診断される。
また、画像についても現在の状態をMRI撮影し、過去の画像を踏まえて分析。
その結果、左大脳半球に委縮が認められたため、医師に後遺障害診断書にその旨のご記載をお願いした。
9級10号が認定された。現在は弁護士にバトンタッチし、損害賠償請求の訴訟へと移行している。
(平成29年5月)

2級1号:高次脳機能障害(10代女性・兵庫県)

【事案】
バイクの後部座席に同乗中に、対向右折車と衝突したもの。
【問題点】
受傷後、脳幹出血のため意識がなかなか回復せず、遷延性意識障害の恐れも考えられた。
髄膜炎を併発し、非常に重篤な状態が続いた。
【立証のポイント】
脳幹出血、びまん性軸索損傷、くも膜下出血のため、非常に重篤な状態が続いた。
3カ月ほどたって少しずつ意識が回復してきたものの、ほとんど話すことができなかった。
左片麻痺のため、車椅子が必須であり、神経心理学検査も多くが実施不能であった。
来るべき訴訟に備え、介護費用の請求について弁護士と打合せながら綿密に進めていった。
高次脳機能障害についても、実施できるものについては実施していただき、特に注意障害、記憶障害について重度な障害であることを立証した。
また、入院中の髄膜炎のため、生理が戻らなかった。
それについては産婦人科医と医師面談を行い、後遺障害診断書の作成を依頼した。
2級1号が認定された。なお、生理が来ないことについては、自賠は『該当する項目がない』として認定不能との結果であった。
今後、訴訟で主張していくこととなる。
(平成28年6月)

3級3号:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
高速道路を自動車で走行中に、居眠り運転の大型トラックに追突されたもの。
【問題点】
易怒性が顕著で、自身の子に暴力をふるってしまう等、状態が深刻であった。
【立証のポイント】
意識障害はJCS300であり、左上肢と左下肢に体麻痺が残存していた。
画像では、びまん性軸索損傷、硬膜下出血が確認でき、経過のMRI画像では脳萎縮も確認可能であった。
症状は、『易怒性』『感情失禁』『記憶障害』『同じことを何度も言う』等があり、またふらつきが常にあり、杖などの支えがないと非常に転倒しやすくなっておられた。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、医師面談を行い、神経心理学検査の実施について打ち合わせを行う。
『易怒性』が顕著で、小学生の娘を風呂に沈めようとしたこともあるなど、非常に深刻でご家族もそのことが最も大変であると訴えておられた。そこで、医師と相談し、『神経系統の障害に関する医学的意見』において詳細に指摘・記載していだいた。
神経心理学検査だけでは立証することができない症状(情動障害)については、日常生活状況報告書等に克明に記載することももちろん重要であるが、なにより医師と障害についてしっかり認識を共有しておくことが、立証上は何より重要である。
高次脳機能障害において、医師面談を行うことのキモは、神経心理学検査の依頼ではない。
むしろ、情動障害など、検査の数値としては現れてこない症状について、いかに医師と認識を共有できるか、にある。
そのことを改めて痛感した案件であった。3級3号が認定される。
(平成28年2月)

併合1級:高次脳機能障害(20代女性・大阪府)

【事案】
アルバイトでバイクで配達中に、信号のない交差点で自動車と出合い頭衝突したもの。(相手方に一時停止)
【問題点】
易怒性が非常に顕著で、診察のボイコットなどが非常に多く、また看護師と問題を起こすことも多かった。
【立証のポイント】
JCS300.非常に広範囲に脳挫傷と硬膜下出血があり、開頭術となった。
右下肢に麻痺が残存し、足は引きずって歩く状態であった。(車イスではない)
右耳の聴力低下があり、ABR検査で立証。
高次脳機能障害の症状としては、『記憶障害』『こだわり(汚れを極端に気にして、手を洗い続けたり、他人が触ったものをしっかり洗ってからでないと触れない)』『易怒性』などがあった。
特に『易怒性』は顕著で、治療先で問題が起こってしまうことがしばしばであった。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、そこで神経心理学検査等を実施していく。
医師は非常に患者に思いやりがあり、立証面だけでなく、精神的な面でも非常に救われました。
3級3号が認定され、顔面の醜状痕7級12号もあり、併合1級が認定される。
(平成28年6月)