7級4号:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
自転車で歩道を走行中に、右折車にまきこまれたもの。
【問題点】
医師からの紹介の案件であったので、治療経過等には問題がなかったが、意識障害の所見が画像等から考えると軽すぎるのではないか?という問題があった。
【立証のポイント】
受傷当時の状態を見ておられる被害者のご家族から、当時の被害者の状態を聞き取りさせていただく。
また、並行して救急搬送された病院のカルテを取り付け、当時の被害者の状況について精査した。
それらの結果を元に、救急搬送先の医師と面談を行い、当時の意識障害の状態について意見交換を行う。
あくまで意識障害の所見の訂正は難しい、とのご見解であったが、考えられること、というような内容で別途診断書の発行をしていただいた。
受傷時の画像を分析したところ、右頭頂葉・側頭葉脳挫傷、左頭頂葉白質のびまん性軸索損傷、くも膜下出血、硬膜下血腫を確認。
念のため、慢性期にはT2スターで画像所見を補強した。
症状としては、『記憶障害』『易怒性』『話がまわりくどく、考えを相手に上手く伝えられない』等の症状があり、神経心理学検査と、情動障害については克明な日常生活状況報告書で立証。
7級10号が認定される。
(平成29年8月)

9級10号:高次脳機能障害(当時7歳男性・大阪府)

【事案】
7年前の7歳の時に、信号のない道路を横断中にトラックにはねられ、受傷したもの。
【問題点】
相談時にはすでに受傷から7年が経過していたため、資料等の取り付けが難航した。
また、受傷当時7歳であったため、事故前との比較が困難であった。
【立証のポイント】
受傷時の画像では、脳挫傷、硬膜下血腫が確認できた。
症状について、事故前との比較が事実上不可能であったので、被害者を観察していて気になる点をご家族や学校の教師等から聞き取り、まとめてみた。
その結果、『物忘れが多い』『授業中や帰宅してからなど、傾眠傾向にある』『音に対して非常に過敏になっている』『易疲労性』などの症状が浮き彫りになってきた。
それらの症状を踏まえたうえで、高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、医師と相談の上、14歳に適した神経心理学検査を実施していただいた。
注意障害等に障害があると診断される。
また、画像についても現在の状態をMRI撮影し、過去の画像を踏まえて分析。
その結果、左大脳半球に委縮が認められたため、医師に後遺障害診断書にその旨のご記載をお願いした。
9級10号が認定された。現在は弁護士にバトンタッチし、損害賠償請求の訴訟へと移行している。
(平成29年5月)

10級11号:左大腿骨遠位端骨折(50代男性・大阪府)

【事案】
バイクで走行中、左折車に巻き込まれたもの。
【問題点】
大腿内の筋の癒着が激しく、手術を繰り返し、症状固定時期の選定が困難であった。
【立証のポイント】
骨癒合については、3DCTで関節面を描出し、画像と可動域との整合性を補強する。
抜釘後は早期にMRI撮影の実施を医師に依頼し、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯の状態の確認と、半月板の損傷の有無を確認する。
骨癒合後も筋の癒着が激しく、症状固定時期については、医師と打合せを行い、適切な時期を決定した。
固定時の可動域測定には立ち合いをお願いし、間違いのない測定かどうかを見させていただいた。
左膝関節の機能障害で、10級11号が認定された。
(平成29年7月)

2級1号:高次脳機能障害(10代女性・兵庫県)

【事案】
バイクの後部座席に同乗中に、対向右折車と衝突したもの。
【問題点】
受傷後、脳幹出血のため意識がなかなか回復せず、遷延性意識障害の恐れも考えられた。
髄膜炎を併発し、非常に重篤な状態が続いた。
【立証のポイント】
脳幹出血、びまん性軸索損傷、くも膜下出血のため、非常に重篤な状態が続いた。
3カ月ほどたって少しずつ意識が回復してきたものの、ほとんど話すことができなかった。
左片麻痺のため、車椅子が必須であり、神経心理学検査も多くが実施不能であった。
来るべき訴訟に備え、介護費用の請求について弁護士と打合せながら綿密に進めていった。
高次脳機能障害についても、実施できるものについては実施していただき、特に注意障害、記憶障害について重度な障害であることを立証した。
また、入院中の髄膜炎のため、生理が戻らなかった。
それについては産婦人科医と医師面談を行い、後遺障害診断書の作成を依頼した。
2級1号が認定された。なお、生理が来ないことについては、自賠は『該当する項目がない』として認定不能との結果であった。
今後、訴訟で主張していくこととなる。
(平成28年6月)

3級3号:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
高速道路を自動車で走行中に、居眠り運転の大型トラックに追突されたもの。
【問題点】
易怒性が顕著で、自身の子に暴力をふるってしまう等、状態が深刻であった。
【立証のポイント】
意識障害はJCS300であり、左上肢と左下肢に体麻痺が残存していた。
画像では、びまん性軸索損傷、硬膜下出血が確認でき、経過のMRI画像では脳萎縮も確認可能であった。
症状は、『易怒性』『感情失禁』『記憶障害』『同じことを何度も言う』等があり、またふらつきが常にあり、杖などの支えがないと非常に転倒しやすくなっておられた。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、医師面談を行い、神経心理学検査の実施について打ち合わせを行う。
『易怒性』が顕著で、小学生の娘を風呂に沈めようとしたこともあるなど、非常に深刻でご家族もそのことが最も大変であると訴えておられた。そこで、医師と相談し、『神経系統の障害に関する医学的意見』において詳細に指摘・記載していだいた。
神経心理学検査だけでは立証することができない症状(情動障害)については、日常生活状況報告書等に克明に記載することももちろん重要であるが、なにより医師と障害についてしっかり認識を共有しておくことが、立証上は何より重要である。
高次脳機能障害において、医師面談を行うことのキモは、神経心理学検査の依頼ではない。
むしろ、情動障害など、検査の数値としては現れてこない症状について、いかに医師と認識を共有できるか、にある。
そのことを改めて痛感した案件であった。3級3号が認定される。
(平成28年2月)

併合1級:高次脳機能障害(20代女性・大阪府)

【事案】
アルバイトでバイクで配達中に、信号のない交差点で自動車と出合い頭衝突したもの。(相手方に一時停止)
【問題点】
易怒性が非常に顕著で、診察のボイコットなどが非常に多く、また看護師と問題を起こすことも多かった。
【立証のポイント】
JCS300.非常に広範囲に脳挫傷と硬膜下出血があり、開頭術となった。
右下肢に麻痺が残存し、足は引きずって歩く状態であった。(車イスではない)
右耳の聴力低下があり、ABR検査で立証。
高次脳機能障害の症状としては、『記憶障害』『こだわり(汚れを極端に気にして、手を洗い続けたり、他人が触ったものをしっかり洗ってからでないと触れない)』『易怒性』などがあった。
特に『易怒性』は顕著で、治療先で問題が起こってしまうことがしばしばであった。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、そこで神経心理学検査等を実施していく。
医師は非常に患者に思いやりがあり、立証面だけでなく、精神的な面でも非常に救われました。
3級3号が認定され、顔面の醜状痕7級12号もあり、併合1級が認定される。
(平成28年6月)

併合4級:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
自動車で走行中、センターラインオーバーしてきた車に正面衝突されたもの。
【問題点】
非常に鬱状態となっており、家族を中心としたトータルな精神的ケアが求められた。
引きこもりがちになっており、治療や検査の必要性について了解いただくのに、ご家族のサポートが必要不可欠であった。
症状で、『こだわり』がかなり顕著であり(下に後述)、神経心理学検査で現れない症状に対してどのように立証するかが問題となった。
【立証のポイント】
意識障害はJCS200と重篤で、画像ではくも膜下出血、びまん性軸索損傷、広範囲の脳挫傷が確認された。
症状としては、『強いこだわりがある(ふすまの中など、人がいるような気がして開けないと気が済まない)』『自分が風呂をあがるときは、ふろ場の天井まで洗ってから出ないと不安になる』などの、『こだわり』の症状が非常に顕著で、これらの症状は神経心理学検査では立証できないため、被害者の奥様に詳細な日記を書いていただくようにした。
また、ビデオ映像を撮影し、それも証拠とした。
その他の症状としては、『易疲労性』『易怒性』『短期記憶障害』『新しいことが覚えられない』といった症状があり、神経心理学検査を実施して立証した。
5級2号が認定され、足指の用廃で13級10号も認定されたため、併合4級が認定された。
(平成28年5月)

7級4号:高次脳機能障害(10代女性・兵庫県)

【事案】
遊んでいて歩道から車道に飛び出したところを自動車にはねられたもの。
【問題点】
小児の高次脳機能障害ということで、症状固定時期や日常生活状況報告書の作成など、特殊な立証作業が必要であった。
小児のため、高次脳機能障害の症状のあぶり出しが困難であった。
弁護士から後遺障害の立証を依頼された案件。
【立証のポイント】
意識障害はGCS6と重篤で、画像ではびまん性軸索損傷、くも膜下出血、脳幹出血が確認できた。
脳幹出血や重篤な意識障害があったが、幸いに体麻痺等を残すこともなく、順調に回復された。
症状としては、『事故前に比べ明らかに幼稚になった』『こだわりが強く何度も同じことを言う』『すぐにあきらめて投げ出してしまう』『思ったことをすぐに口に出してしまう』『傾眠傾向』などがあった。
特に、傾眠傾向は顕著で、診察中に眠ってしまうこともあった。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、神経心理学検査の依頼を行う。
傾眠については、外傷性ナルコレプシーと診断され、視床下部のオレキシンを作る神経細胞が損傷を受けた原因であると診断される。
ちなみに、ナルコレプシーは診断可能な治療先の確保が困難であり、大阪では現在、ナルコレプシーの診断・治療をしている医療機関は三つしかありません。
自賠責では、ナルコレプシーは高次脳機能障害の症状の一つとして評価されます。
7級4号が認定された。
(平成28年6月)

5級2号:高次脳機能障害(70代男性・大阪府)

【事案】
信号のない道路を徒歩で横断中に、バイクにはねられたもの。
【問題点】
病院からのご紹介の被害者様であったので、治療経過等での問題点は特になかった。
しかし、ご高齢のため、痴呆的な症状なのか、高次脳機能障害なのか、やや症状についての整理が困難であった。
【立証のポイント】
意識障害についてはJCS30で一週間以上続いていた。
画像では、びまん性軸索損傷、くも膜下出血、脳梁部の脳挫傷が確認された。
症状について、ご家族から聞き取りさせていただき、『会話が成り立たない』『注意障害』『記憶障害』『易怒性』『遂行機能障害』等があった。高齢による症状もその中にあるのかは判然としなかったが、現存する症状についてすべてをカバーする神経心理学検査のメニューを医師に依頼し、実施していただいた。
検査結果は全体的に非常に悪く、実施したが不能、というものもいくつかあった。
慢性期に、T2スターの実施を依頼し、右頭頂葉に陳旧性の頭蓋内出血後変化を立証した。
5級2号が認定された。
(平成29年8月)

併合6級:高次脳機能障害(40代男性・岐阜県)

【事案】
自動車で高速道路を走行中に、追突されたもの。
【問題点】
相手が無保険であったということもあり、ご家族皆様が非常にナーバスになっておられた。
また、主治医との意思疎通も不十分であり、高次脳機能障害についてはほぼ検査が実施されていない状態であった。
【立証のポイント】
早急に意識障害の所見を取り付け、確認する。
同時に画像を確認し、びまん性軸索損傷、くも膜下出血、硬膜下血腫を確認する。
症状については、『話し方が事故以前とかわった』『言葉が出にくい』ということをご家族等が訴えておられた。
まず、高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、また労災であったため労災の手続関連を早急に行う。
医師面談で神経心理学検査を依頼し、特に言語性をみる検査を盛り込んでいただく。
一口に『記憶障害の検査』といっても、言語性のものや視覚性のものなど、複数あるのでどの検査で立証するかは熟慮する必要がある。
専門病院での医証に加えて、初診から通院していた病院でも、高次脳機能障害の検査結果等を踏まえて医証の作成を依頼する。
なかなか困難な医師面談となったが、なんとか理解を得られ、書類の作成にも応じていただいた。
7級4号が認定され、顔面の醜状痕12級との併合で併合6級が認定された。
(平成29年10月)