併合6級:高次脳機能障害(60代女性・大阪府)

【事案】
信号のない横断歩道を徒歩で横断中に、自動車にはねられたもの。
【問題点】
意識障害の所見が、画像等から考えると軽く記載されていると考えられた。
半側空間無視、左難聴を伴っていたため、それぞれの検査通院が必要であった。
【立証のポイント】
意識障害の所見について精査するため、カルテを取り付け、受傷後間もない頃の状態を分析した。
併せて画像所見を検証し、そのうえで医師面談を行い、意識障害について追記、訂正を求めた。
高次脳機能障害の専門病院にて必要と思われる神経心理学検査をオーダーし、実施を依頼する。
半側空間無視についてはBIT検査を依頼、難聴については耳鼻科でABR検査を依頼する。
意識障害の所見について若干の不安があったので、T2スター撮影を医師に依頼し、画像所見を補強した。
高次脳機能障害で7級4号が認定され、醜状痕、難聴等で併合6級が認定された。
(平成30年4月)

5級2号:高次脳機能障害(20代男性・兵庫県)

【事案】
原付で交差点を走行中に、右折してきた自動車に跳ね飛ばされたもの
【問題点】
脳挫傷に伴い、左頭蓋底骨折が確認されたため、嗅覚や味覚の障害が予想された。
脳挫傷は両側前頭葉に認められ、また脳の広範囲に硬膜下血腫、くも膜下出血が確認されたため、予想される障害は多岐にわたり、そのため神経心理学検査は多種様々な連鎖が必要であると考えられた。
また、前頭葉を損傷していることから、情動障害も予測された。
【立証のポイント】
情動障害の立証のため、事故当初からご家族にはメモや日記をつけていただくことをお願いした。
また、被害者様が自傷行為を行ったため、心の面でのサポートが必要不可欠であり、無理な検査日程はなるべく避けるように配慮した。
画像所見から、症状は多岐にわたることが予測されたため、予測し得る症状について、それらに対する神経心理学検査のメニューを作成し、専門医をご紹介。その専門医に検査メニューの実施をオーダーした。
情動障害については、書き溜めていただいたメモや日記を基に、医師に『神経系統の障害に関する医学的意見』において医師の所見と意見をお書きいただき、それを補強する形で日常生活状況報告書を作成した。
慢性期の脳の状態を確認するため、T2スター撮影を医師に依頼。
脳の萎縮とびまん性軸索損傷後の出血痕が描出され、画像所見を大きく補強された。
嗅覚味覚については、オルファクトメーターとろ紙ディスクで立証。いずれも味覚嗅覚減退で、14級相当が評価される。
これら一連の立証が功を奏し、併合5級(味覚嗅覚との併合)が認定された。
足かけ一年半にわたる立証作業であった。
(平成30年4月)

7級相当:右腓骨神経麻痺(40代女性・兵庫県)

【事案】
バイクの後部座席に搭乗中、そのバイクが乗用車に追突し、投げ出されたもの。
【問題点】
家族もお子様のみで、怪我で身動きもとれず、対応全般に苦慮しておられた。
また、診断名では腓骨神経麻痺の記載はなく、右脛骨腓骨骨幹部開放骨折という診断名であった。
しかしながら、被害者に面談し、症状をお聴き取りすると、腓骨神経麻痺が疑われた。
【立証のポイント】
受任から早期に医師面談を行い、神経伝達速度検査の実施を依頼。
被害者の訴える痺れの症状、右足関節、右足趾の背屈困難の症状について、具体的に医学的な根拠を追跡した。
神経伝達速度検査の結果、右腓骨神経麻痺という傷病が立証され、医師も右腓骨神経麻痺と診断した。
その後、画像の分析、カルテの分析等を行い、フォローを続け、症状固定時期について適切な時期を選定、医師面談を行い、医師に症状固定の依頼を行う。形成での医師面談等も含め、医師面談回数は延べ7回に及ぶ。
仕上がってきた後遺障害診断書であったが、医師面談で依頼したにもかかわらず、足関節、足趾の可動域について、他動値の記載があった。
腓骨神経麻痺のため、自動値のみでの計測、診断を医師面談で再度依頼し、後遺障害診断書を作成し直していただく。
右足関節強直による8級7号、右足趾用廃による9級15号が認定され、同一系列により7級相当が認定された。
骨盤骨折後の変形で12級5号も認定されていたため、併合6級の認定となった。
(平成30年2月)

12級7号:リスフラン関節脱臼骨折(50代女性・福岡県)

【事案】
自動車で走行中に、対向車がスピンしてきてセンターラインを越え、正面衝突されたもの
【問題点】
小腸の切除、左膝蓋骨開放骨折、右母趾亜脱臼、腰椎圧迫骨折、など負傷箇所は多岐にわたり、一つ一つの傷病について注意深く画像等をチェックしていく必要があった。
中足骨の脱臼で転位が大きく、手術により固定されたが、通常リスフラン関節脱臼では足関節に機能障害を残すことは少なく、機能障害としての後遺障害等級獲得について、困難が予想された。
【立証のポイント】
抜釘後にMRIの実施を依頼し、足関節の機能障害との関連について、画像所見から追いかけて立証した。
現実に足関節の機能障害は残存しており、それが拘縮からくるものであるのか、それとも器質的な原因からくるものであるのか、最後まで微妙であった。
医師面談では、後遺障害診断書において考え得る原因について列記いたただき、リスフラン関節脱臼骨折と足関節の機能障害について、関連付けた医証を作成いただき、提出。
結果は機能障害として12級7号が認定され、神経症状ではなく機能障害としての等級認定に成功した。
なお、腰椎圧迫骨折で11級7号、左膝蓋骨開放骨折で12級13号が認定され、併合10級となった。
(平成30年1月)

10級11号:左足関節脱臼骨折(30代男性・大阪府)

【事案】
事故により左足関節を負傷したもの。
【問題点】
可動域制限が残存しており、その原因を立証しなければならなかった。
医師に可動域の数値を診断書に書いてもらうだけでは認定されない。その可動域制限が、何を原因として発生しているのかを立証しなければ認定されないのである。この点は、多くの専門家を名乗る方々が理解できていない点である。
【立証のポイント】
3DCTにより、左足関節内果部の骨癒合不良を立証。
画像を分析したところ、足関節後方部の骨棘形成や外側から後方にかけて複数の骨片の残存が認められた。
そこで、医師にその旨の記載を依頼。
また、Tillaux_Chaput骨折を伴う脱臼骨折であったため、前方から固定する術式が採用されていた。
そのため、それによる周囲組織に対する侵襲性について医師に確認し、その旨も診断書にご記載いただいた。
左足関節の機能障害で、10級11号が認定される。
(平成29年3月)

5級2号:高次脳機能障害(20代女性・大阪府)

【事案】
信号のない交差点を自転車で走行中に、信号無視の自動車にはねられたもの。
【問題点】
受傷から2年以上経過しており、しかしながら高次脳機能障害については何も検査がなされておらず、早急に高次脳機能障害の評価を専門医に受ける必要があった。
【立証のポイント】
画像を分析したところ、右側頭骨骨折、くも膜下出血、硬膜下血腫、急性脳浮腫が確認できた。損傷が非常に広範囲で、脳の左半分がほぼ損傷を受けており、体麻痺等が残らなかったのも奇跡的である、と医師もおっしゃっていた。
症状としては、『喜怒哀楽が激しい』『質問に対し的外れな答えが多い』『周りを気にしない不必要な発言が多い(太っている人に向かって、太っているね、と発言してしまうなど)』『笑い出すと止まらなくなり、診察が不可能になる』『物がなくなるとすぐに誰かのせいにし、誰かが盗んだと大騒ぎをする』などがあった。
高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、必要と考えられる検査をピックアップし、神経心理学検査の依頼・実施を医師にお願いする。
ご家族からも、特に情動障害の部分について聞き取り、日常生活状況報告書等にまとめていく。
神経系統の医学的意見、においても、検査で数値化されない障害について医師にしっかりとご記載いただいた。
5級2号が認定された。
(平成29年1月)

10級11号:左距骨開放性脱臼骨折(30代男性・岡山県)

【事案】
勤務中に高所でクレーン車に接触され転落したもの。
【問題点】
受傷から4か月ほどで治療がなされない状態となっており、相談時はすでに時効が迫っている状況であった。
治療がなされなかった理由は、医師がまったく協力的でなかった、と被害者は訴えており、後遺障害診断書の作成も拒否された、とのことであった。
【立証のポイント】
画像を分析したところ、左距骨脱臼骨折が確認できた。
非常に重傷で、なぜ医師がここまで協力的でないのか、疑問しか持てなかった。
岡山県の被害者ではあったが、京都の専門医をご紹介し、遠方ながら受診していただく。
CT、MRIで改めて現在の状態を診断していただき、その医師のもとで症状固定とする。
左足関節の機能障害で、10級11号が認定された。
時効目前であったので、もう少しご相談の時期が遅れていたら手遅れになっていた案件であった。
(平成29年10月)

7級4号:高次脳機能障害(40代男性・大阪府)

【事案】
自転車で歩道を走行中に、右折車にまきこまれたもの。
【問題点】
医師からの紹介の案件であったので、治療経過等には問題がなかったが、意識障害の所見が画像等から考えると軽すぎるのではないか?という問題があった。
【立証のポイント】
受傷当時の状態を見ておられる被害者のご家族から、当時の被害者の状態を聞き取りさせていただく。
また、並行して救急搬送された病院のカルテを取り付け、当時の被害者の状況について精査した。
それらの結果を元に、救急搬送先の医師と面談を行い、当時の意識障害の状態について意見交換を行う。
あくまで意識障害の所見の訂正は難しい、とのご見解であったが、考えられること、というような内容で別途診断書の発行をしていただいた。
受傷時の画像を分析したところ、右頭頂葉・側頭葉脳挫傷、左頭頂葉白質のびまん性軸索損傷、くも膜下出血、硬膜下血腫を確認。
念のため、慢性期にはT2スターで画像所見を補強した。
症状としては、『記憶障害』『易怒性』『話がまわりくどく、考えを相手に上手く伝えられない』等の症状があり、神経心理学検査と、情動障害については克明な日常生活状況報告書で立証。
7級10号が認定される。
(平成29年8月)

9級10号:高次脳機能障害(当時7歳男性・大阪府)

【事案】
7年前の7歳の時に、信号のない道路を横断中にトラックにはねられ、受傷したもの。
【問題点】
相談時にはすでに受傷から7年が経過していたため、資料等の取り付けが難航した。
また、受傷当時7歳であったため、事故前との比較が困難であった。
【立証のポイント】
受傷時の画像では、脳挫傷、硬膜下血腫が確認できた。
症状について、事故前との比較が事実上不可能であったので、被害者を観察していて気になる点をご家族や学校の教師等から聞き取り、まとめてみた。
その結果、『物忘れが多い』『授業中や帰宅してからなど、傾眠傾向にある』『音に対して非常に過敏になっている』『易疲労性』などの症状が浮き彫りになってきた。
それらの症状を踏まえたうえで、高次脳機能障害の専門病院をご紹介し、医師と相談の上、14歳に適した神経心理学検査を実施していただいた。
注意障害等に障害があると診断される。
また、画像についても現在の状態をMRI撮影し、過去の画像を踏まえて分析。
その結果、左大脳半球に委縮が認められたため、医師に後遺障害診断書にその旨のご記載をお願いした。
9級10号が認定された。現在は弁護士にバトンタッチし、損害賠償請求の訴訟へと移行している。
(平成29年5月)

10級11号:左大腿骨遠位端骨折(50代男性・大阪府)

【事案】
バイクで走行中、左折車に巻き込まれたもの。
【問題点】
大腿内の筋の癒着が激しく、手術を繰り返し、症状固定時期の選定が困難であった。
【立証のポイント】
骨癒合については、3DCTで関節面を描出し、画像と可動域との整合性を補強する。
抜釘後は早期にMRI撮影の実施を医師に依頼し、前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯の状態の確認と、半月板の損傷の有無を確認する。
骨癒合後も筋の癒着が激しく、症状固定時期については、医師と打合せを行い、適切な時期を決定した。
固定時の可動域測定には立ち合いをお願いし、間違いのない測定かどうかを見させていただいた。
左膝関節の機能障害で、10級11号が認定された。
(平成29年7月)