後遺障害の立証は早期の対応が不可欠【外傷性頸部症候群の場合】

後遺障害の立証は、できる限り早期に対応していくことが望ましいことは前回の記事【肩腱板損傷の場合】でも述べました。

後遺障害の立証は早期の対応が不可欠【肩腱板損傷の場合】


今回は、交通事故外傷で7割以上を占める外傷性頸部症候群(頸椎捻挫、外傷性頸部神経根症)を例にして、早期対応の重要性についてご説明します。
なお、首ではなく腰のお怪我(外傷性腰部症候群、外傷性腰部神経根症、腰椎捻挫、腰部打撲)についても基本的に同じことが当てはまるとお考えいただいてけっこうです。

外傷性頸部症候群の場合

・Aさんは自動車で信号待ち中に、後方より走行してきた自動車に追突され、首にお怪我を負われ病院に通院しました。
病院では、『外傷性頸部症候群』と診断され、いわゆるむちうちであることが判明しました。
事故当初はすぐに治るだろうと考えていたAさん。しかし、首の痛みが増し、頭痛も併発するようになり、病院では薬も処方されるようになりました。

・事故から二週間ほど経過し、病院での受診のみで安静にしていたAさん。
病院は総合病院であったため、「ご自宅か職場近くの整形外科でリハビリをされてはいかがですか。当院への通院は特にこれ以上必要ありません。」と医師に説明されたAさんは、症状がまだ続くため家の近くでリハビリができる場所をインターネットで探すことにしました。

・家の近くに、『交通事故治療院』というのぼりを掲げて夜9時頃まで開業している整骨院を見つけ、そこでリハビリを行うことにしたAさん。相手方保険会社にも通院することについて連絡を入れ、毎週3回ほど整骨院に通院しました。施術を受けると楽になるものの、完全に症状が消失することはなく、そのまま六か月が経過したときに、相手方保険会社から「そろそろ後遺障害診断を受けていただき、治療の打ち切りとさせていただきたい」と通告されました。

・Aさんは、相手方保険会社から送付されてきた後遺障害診断書を、医師ではないという理由で整骨院では作成できないということを知らなかったため、仕方なく事故当初に通院していた病院に書類を持参し、作成を依頼しました。ところが、「事故後の経過を知らない」と医師に言われ、後遺障害診断書の作成を拒否されました。慌てたAさんは、私どもの無料交通事故相談会にお越しになられました。

・この段階で、仮に医師が後遺障害診断書を作成してくださったとしても、後遺障害が認定されないことは実は既に明らかでした。
整骨院は『治療』ではなく『施術』であり、診断権もないので診断書の作成もできず、また後遺障害の認定においても治療実績として評価されないため、もうこの時点では後遺障害の認定は絶望的でした。
このことをお伝えしても、症状が残っていて納得ができないAさん。困難なことは承知の上で、なんとか受任してほしいとのご要望から、認定が極めて困難であることをご説明の上で受任。
医師面談を行い、医師に頭を下げなんとか後遺障害診断書を作成していただき、後遺障害の申請を行いましたが、やはり結果は非該当、認められないという結果でした。

Aさんはどのように対応していればよかったのか?

・初診の総合病院での受診後は、『整形外科やクリニックなど、病院でリハビリ通院を行う』べきでした。診断権のある医師のもと、施術ではなく治療をしっかりと行い治療実績を積み上げ、そのうえでMRI検査などの所見を収集しておくべきであったのです。
もし、もっと早期からご相談いただいていれば、リハビリ先を整骨院から整形外科へ即座にスイッチし、軌道修正が可能であったかもしれません。しかしながら、事故から五カ月や六か月経った段階では、時すでに遅し。
手の打ちようのない状況となるのです。

・近年、大手弁護士法人等がコンサルティング会社を通じ、全国の整骨院・接骨院と協力関係を築いています。整骨院・接骨院と協力関係を築いています。整骨院・接骨院は被害者請求を弁護士にしてもらって施術費用を回収し、弁護士は整骨院・接骨院から自動車保険で『弁護士費用特約』のある客の紹介を受け、弁護士費用特約で稼いでいるのです。
整骨院・接骨院で通院実績を積み上げると後遺障害の認定において不利になることは、おそらくその弁護士は知っているでしょう。
しかし、弁護士費用特約さえついていれば、着手金等の請求で一定の稼ぎが弁護士は可能なのです。

・私どもは、このような取り組みに危機感を感じています。
まさに知らない被害者が泣きを見ている状態で、真の被害者は弁護士費用特約を売っている保険会社ともいえます。
このような状況を打破すべく、『被害者救済』と銘打って、我々は後遺障害について理解のある『整形外科医』と連携し、共同で取り組んでいます。

外傷性頸部症候群の相談は早期に!そして、通院は整形外科へ!

交通事故で外傷性頸部症候群になった被害者様におかれましては、できる限り早期に無料相談にお越しいただけましたらと思います。
泣き寝入りしないために、早期からの対策が何より大切です。

頸椎捻挫(むちうち)の治療中に心がけておくべきポイント

むちうちの治療中で心がけておくべきポイントは、主に5つあります。
ポイントとしては、実はもう少しあるのですが、被害者様において特に心がけていただきたいポイントを5つに絞りました。
むちうちで治療中の被害者様におかれましては、ぜひ参考にしていただけましたらと思います。

整形外科(クリニック)で治療を受けること

まずは、リハビリ先について、整形外科(クリニック)を選択することです。
後遺障害の認定において重視されるポイントの1つに、『主治医の意見』があります。
後遺障害診断書の内容も、これに含まれます。
『主治医の意見』とは、当然ながら医師でなければそれを判断・診断することはできません。
整骨院や接骨院をリハビリ先に選択した場合、その施術期間については、治療ではないため、主治医の意見の及ばない範疇となります。

当然、後遺障害の認定機関も、整骨院・接骨院で施術した期間については『主治医の意見』が伴っていないため、治療期間としては判断せず、そのために後遺障害の認定において著しく不利となります。
また。当然ながら整骨院・接骨院では、後遺障害診断書はもちろんのこと、診断書自体作成・発行ができません
したがって、リハビリ先は必ず、整形外科を選択しなければなりません。
街の整骨院は、『交通事故治療』などというのぼりや看板を露出し、集客活動を行っていますが、それらは治療ではなく施術です。
気を付けなければなりません。ぜひ心がけておいていただきたいポイントです。

しっかりとリハビリ加療を受けること

当然ながら、後遺障害とはしっかりと治療を受けたのにも関わらず、残ってしまった障害のことを指します。
したがって、ほとんどリハビリをしていないものについては、後遺障害の認定はありません。
後遺障害の申請の可能性も視野に入れながらリハビリ通院を行うのであれば、やはりしっかりとリハビリ通院を行うべきです。
治療実績が著しく乏しいものについては、後遺障害は認定されません
お仕事等の兼ね合いももちろんあると思いますが、症状があるのであれば、しっかりとしたリハビリ通院を行い治療なさるべきです。

症状についての整理

今残存している症状については、しっかりと診察時に主治医にお伝えしてください。
なかなか伝えるのが苦手、という場合は、一度ゆっくりとご自身の症状についてメモ帳などに書き出してみて、それを主治医に提出するなどして、しっかりと主治医にお伝えしてください。
これは事故とは関係ないかな?と勝手に判断してしまうのではなく、異常を感じればすぐに主治医にお伝えし、相談しましょう。

事故から期間が大きく経った後に訴えた症状については、事故との因果関係が否定されてしまいます
実は当初から少し気になっていました・・・という症状があったとしても、事故から大きく期間を経た後の訴えであれば、それは後遺症としては医師は診断してくださるかもしれませんが、後遺障害(自賠責が補償の対象としてくれる後遺症)としては認められなくなってしまいます。
症状については、できるだけ早期にまとめ、整理して主治医にお伝えするようにしてください。

休業の期間はできる限り短くする

休業の期間は、保険会社が認める期間はある程度傷病ごとに決まっています。(もちろん、事故の程度にもよります)
むちうちであれば、多くは1カ月、事故状況や特別な症状・所見があったとしても最長で3カ月程度です。
また、むちうちの場合、休業の期間が長引くと、心因性のもの(その人特有の心の状態を原因とするもの)と捉えられてしまう可能性があり、そうなると後遺障害の認定も不利となり、また保険会社に弁護士対応をされるリスクも高まります
もちろん、お仕事の内容やお体の状態にもよりますが、就労復帰についてはできうる限りにおいてなるべく短期間で復帰するのが望ましい、ということは心がけておいていただきたいポイントです。

通院にタクシーは使わない

むちうちの場合、通院にタクシーは基本的に認められません
骨折してギブスをしている、などの状況でなければ、通勤手段は電車やバスに限られます。
骨折であってもタクシーでの通院は認められないことが多いです。
もし、保険会社がタクシーでの通院を認めたとしても、示談の際に慰謝料からタクシー代を『慰謝料の前払い』として差し引かれるリスクが高く、公共交通機関(バス、電車)での通院にすべきであることを心がけておいていただけましたらと思います。

まとめ

以上、むちうち通院時の基本的なポイントを説明してきました。
しかしながら、事故態様は様々で、交通事故解決は相談にお越しになられた時期やその事案の内容に応じ、臨機な対応が必要となります。
少しでもご不安な点や疑問点がございましたら、フリーダイヤルでお気軽にご相談くださいませ。


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むちうちで12級が認定されるための要件とは

むちうちの12級の認定要件とは

頸椎捻挫で12級が認定されないか?というご相談は、少なくありません。
相談会を開催すると、必ずそういうご相談をされるお客様が2~3名はいらっしゃる印象です。
当然、14級よりは12級の認定を受けたい、と私も思っています。被害者様の賠償額が大きくなることはもちろん、私の報酬も上がりますから、12級の認定を受けたい気持ちは山々です。

それでは、どのような要件で12級は認定されるのでしょうか。
そのことについて、私の知る限り、真実を書いている弁護士事務所、行政書士事務所のホームページは見当たりません。
本当にご存じないからなのか、もしくはわかっているけど書かないのか、それとも医学的な要因だけで12級が獲得できると信じているのか、そのあたりはそれぞれのご見解があるのだろうと思われます。

当事務所では、今まで対応してきた経験や知識については、相談時に相談者様に対して、または当ホームページにおいても、包み隠さず明らかにしております。ですので、ここでは12級の要件についてズバリ書きます。
12級は、大きな事故から順番に認定されているというイメージを持っていてただいて問題ありません。
すなわち、事故態様(どのような事故であったか)が一定程度大きな規模でなければ、いかに医学的な側面で認定申請を行っても、12級は認定されず、認定されて14級どまりだということです。

スパーリング、ジャクソン等の神経学的所見で陽性が得られていること?
MRI画像において、著明なヘルニアが確認できること?
これらが要件であると多くの専門家のホームページで書かれていますが、それは間違いです。もちろん、それらの所見があった場合、認定において有利な所見であることは間違いありません。
しかしながら、事故自体が一定の規模を超えた事故でなければ、12級は認定されないのです。

そして、画像所見や神経学的所見よりは、主治医の意見(医療照会や後遺障害診断書)の方が、どちらかというと大きな要素であると私は経験上、感じております。
ですがそれであっても、12級となると事故態様に大きく左右されるため、12級を医学的な側面だけで確実に認定を獲得できる、とは断言ができないのです。

それでは、どのような事故態様であれば12級が認定されるのでしょうか。
今までの経験では、
・高速道路でノーブレーキでトラックに追突され、幸いにして頸椎捻挫のみの怪我で済んだが車は全損
・ノーブレーキで追突され、頸椎捻挫だけでなく、ダッシュボードに膝をぶつけて高原骨折にもなった
・側面衝突され、車が横転した
・むちうちに伴って、棘突起の骨折(首の後方の骨の骨折)も伴っていた
などでは、むちうちで12級が認定されています。

事故態様は、センター試験で言うところの足切り要件

事故態様は、センター試験で言えば足切り要件です。
つまり、一定程度の事故態様があって、はじめて医学的な部分の審査にステージが移る、ということです。
これは12級に限った話ではなく、14級であっても当てはまります。
こすったような事故や軽微な事故では、いかに医学的な所見や自覚症状が伴っていたとしても、14級であっても認定されることはないのです。
我々の相談会では、これらの事柄を踏まえ、総合的なところから認定の可能性についてご説明させていただいています。
しかしながら、私たちがサポートできるのは医学的な側面と、その他通院などについてのテクニックのみ。事故態様についてはどうしようもない分野です。
しかし、12級であっても、14級であっても、むちうちのサポートはやるべきことは同じ。
医療照会に向けての準備と医師面談、それに加えて自覚症状の精査、通院実績についての助言、画像分析です。
事故態様については動かしがたい事実ですが、それでもその他の要素について全力で対応するのみです。
以上より、いくつかの専門家のホームページで謳われている、『認定率〇%』の文字。こんなものは、まったく意味をなさない数字なのです。

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腰椎捻挫による坐骨神経痛

坐骨神経痛は、腰仙部坐骨神経の支配領域(臀部、下肢後面、下肢外側面)に疼痛が発生します。
坐骨神経は腰椎から分かれて出てきた神経根がいくつか集まってできている神経ですが、膝の上の部分までを指し、それ以下ではいくつかの神経に分かれて足先まで分布します。
これらいずれかの部分で障害が生じると『坐骨神経痛』が認められます。
また、神経に障害が生じていない場合であっても、坐骨神経に沿った痛みが認められる場合にも、『坐骨神経痛』と認められることがあります。

原因について

腰椎で馬尾や神経根が圧迫されることによって発生します。
腰椎捻挫によって症状が出現したのであれば、腰椎捻挫による坐骨神経痛ということになります。
圧迫のことを腰椎椎間板ヘルニアと呼び、腰椎の骨と骨とを結んでいる椎間板の外側部分がほころびて、中の髄核が外に出てきて神経根を圧迫している状態です。

診断について

坐骨神経痛は診断名ではなく症状ですので、診断としては『腰椎捻挫』と診断がなされます。
坐骨神経に沿って強い痛みと発疹があれば、皮膚科の病気となります。
検査には、MRIが必須です。
MRIの横断像によって、腰椎のどの部分に圧迫があるのかを特定し、最終的に坐骨神経痛という症状について証明がなされることになります。

治療について

坐骨神経痛の原因が特定されれば、それに対応する治療がされます。
原因となっている病態が不明な場合は、検査を進める間、鎮痛消炎薬や筋弛緩薬などの投薬や、リハビリ加療がなされます。
交通事故における対応では、マッサージや注射による治療だけでなく、MRI検査によって症状の原因について説得力を増す作業をしておかなければなりません。

~腰椎捻挫~ 腰部痛についての考え方

腰部痛の分類

・非特異的腰痛・・・全体の85%ほどを占めます。痛みは腰部に起因するが、下肢に神経症状がなく、重篤な基礎疾患も有しない病態
・特異的腰痛・・・全体の15%ほどを占めます。神経症状を伴うもの(症候性の椎間板ヘルニアヤ脊柱管狭窄症)、重篤な器質的疾患の可能性がある腰痛(骨折、感染、脊柱腫瘍など)に分類されます。

非特異的腰痛について

・脊椎機能障害・・・姿勢バランスを含む脊柱への負荷(メカニカルストレス)に関連するもの⇒脊椎ストレスが(動作や姿勢)が主因
・脳機能障害・・・心的負荷が原因の身体化特徴としての腰痛⇒心的ストレスが主因

脊椎機能障害の発生部位

・椎間板線維輪最外層と終板 39%
・椎間関節 15~32%
・仙腸関節 13~18,5%
・筋、筋膜

非特異的腰痛についての問題点

・投薬やリハビリ、ブロック注射などで治療を行うが、脊椎機能障害が関わる非特異的腰痛については、病態、診断から治療について未解明な部分が多い。

特異的腰痛について

・椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症性椎体骨折、椎間感染症、脊椎腫瘍、など。
・骨粗鬆症性椎体骨折については、下位腰部や仙骨部に疼痛を訴えるケースが多く、棘突起の圧痛や叩打痛で確認する。加療が遅れると、椎体の圧壊⇒後弯変形⇒遅発性脊髄麻痺、と進行する可能性がある。

頸椎捻挫 上腕二頭筋反射と上腕三頭筋反射、腕橈骨筋反射

上腕二頭筋反射

・意義・・・C5~6レベルの反射弓、またはその髄節より上位の錐体路障害の検査
・検査方法・・・被検者を軽度上肢外転、肘関節屈曲位とし、前腕を軽く回外させる。
        検者の母指を被検者の上腕二頭筋腱に当てる。
        上腕二頭筋腱に当てた検者の母指をハンマーでたたく。
・判定基準・・・
 消失(-)⇒反射が得られない
 低下(±)⇒関節運動を伴わないわずかな筋収縮
 正常(+)⇒若干の肘関節屈曲が認められる
 亢進(++)⇒肘関節屈曲が認められる
 著明な亢進(+++)⇒著明な肘関節屈曲が認められる。クローヌスを伴うこともある

上腕三頭筋反射

・意義・・・C6~8レベルの反射弓、またはその髄節より上位の錐体路障害の検査
・検査方法・・・検者は被検者の前腕を軽く掴み、肘関節軽度屈曲をとらせる。
        検者の示指を被検者の肘頭すぐ上の上腕三頭筋腱に当てる。
        上腕三頭筋腱に当てた検者の示指をハンマーでたたく。
・判定基準・・・
 消失(-)⇒反射が得られない
 低下(±)⇒関節運動を伴わないわずかな筋収縮
 正常(+)⇒若干の肘関節伸展が認められる軽度の筋収縮
 亢進(++)⇒肘関節伸展が認められる
 著明な亢進(+++)⇒著明な肘関節伸展が認められる。クローヌスを伴うこともある

腕橈骨筋反射

・意義・・・C5~6レベルの反射弓、またはその髄節より上位の錐体路障害の検査
・検査方法・・・被検者を肘関節屈曲位、前腕回内・回外の中間位または軽度回内位にさせる。
        検者の母指を被検者の橈骨下端に当てる。
        橈骨下端に当てた検者の母指を垂直にたたく。
・判定基準・・・
 消失(-)⇒反射が得られない
 低下(±)⇒関節運動を伴わないわずかな筋収縮
 正常(+)⇒若干の肘関節屈曲が認められる軽度の筋収縮
 亢進(++)⇒肘関節屈曲が認められる
 著明な亢進(+++)⇒著明な肘関節屈曲が認められる。クローヌスを伴うこともある

医師面談は重要です!

病的反射 (頸椎捻挫、腰椎捻挫)

トレムナー反射

・意義・・・一側のみ陽性の場合は錐体路障害を疑う。
・検査方法・・・被検者の手関節を軽度背屈位にする。
        被検者の中指PIP関節とDIP関節の間を検者の示指と中指で挟む。
        検者の母指で被検者の中指DIP関節を伸展方向に素早くはじく。
・判定基準・・・母指の内転と屈曲が認められると陽性

トレムナー反射

ワルテンベルク反射

・意義・・・一側の陽性の場合は錐体路障害を疑う。
・検査方法・・・被検者の手を軽度回外位にし、手指を軽度屈曲させる。
        検者は示指と中指を伸ばし、被検者の示指~小指の末端に垂直となるように置く。
        検者は示指と中指の上からハンマーでたたく。
・判定基準・・・母指の内転と屈曲が認められると陽性

ワルテンベルク反射

ハビンスキー反射

・意義・・・陽性の場合は錐体路障害を疑う。
・検査方法・・・被検者の足底部をハンマーの柄を用いて、踵から足指方向に外側縁を擦る。
・判定基準・・・母指の伸展と足指の開扇現象が認められると陽性

マリー・フォア反射

・意義・・・陽性の場合は錐体路障害を疑う。
・検査方法・・・被検者の足指全体を握り、強く足底に屈曲させる。
・判定基準・・・下肢全体の屈曲が認められ、足関節の背屈が認められると陽性

クローヌス

・意義・・・反射が著明に亢進したことと同様の意義がある。
・検査方法・・・被検者の下肢を伸展させ、検者は被検者の膝蓋骨を母指と示指で掴み強く下方へ押し上げる。(膝クローヌス)
        被検者の足部を足底から上方へ強く押し上げる。(足クローヌス)
・判定基準・・・膝クローヌスの場合は、大腿四頭筋の間代性痙攣が出現、膝蓋骨が上下に連続的に痙攣する。
        足クローヌスの場合は、下腿三頭筋の間代性痙攣が出現、足が上下に連続的に痙攣する。
・意義・・・陽性

腰椎捻挫 膝蓋腱反射とアキレス腱反射

膝蓋腱反射

・目的・・・L2~4レベルの反射弓またはその髄節より上位の錐体路障害の検査
・検査方法・・・背臥位で行う場合は、被検者の膝関節を30~50°屈曲させた肢位で行う。
        座位で行う場合は、下腿を椅子から垂らした肢位で行う。
        検者の示指を被検者の膝蓋腱に当てる。
        膝蓋腱に当てた検者の示指をハンマーでたたく。
・判定基準
 消失(-)・・・反射が得られない
 低下(±)・・・関節運動を伴わないわずかな筋収縮
 正常(+)・・・若干の膝関節伸展が認められる軽度の筋収縮
 亢進(++)・・・膝関節の伸展が認められる
 著明な亢進(+++)・・・著明な膝関節が認められる。クローヌスを伴うこともある

アキレス腱反射

・目的・・・L5~S1レベルの反射弓またはその髄節より上位の錐体路障害の検査
・検査方法・・・背臥位で行う場合は、被検者の両下肢を軽度外転・外線させ、両側の踵を正中線上で合わせる。
        座位で行う場合は、被検者の下腿を椅子から垂らした肢位で行う。
        検者は被検者の足底を押して、軽く背屈位とさせる。
        アキレス腱を直接ハンマーでたたく。
・判定基準
 消失(-)・・・反射が得られない
 低下(±)・・・関節運動を伴わないわずかな筋収縮
 正常(+)・・・若干の足関節底屈が認められる軽度の筋収縮
 亢進(++)・・・足関節底屈が認められる
 著明な亢進(+++)・・・著明な足関節底屈が認められる。クローヌスを伴うこともある

後遺障害の専門家でも何でもない弁護士の実態(頸椎捻挫編)

先日、ある弁護士事務所へ依頼され、さらに当事務所へセカンドオピニオンを求める形で当事務所の開催している相談会にお越しになった被害者様がおられました。

その被害者様の傷病はムチウチで、ムチウチの等級認定における後遺障害のサポートを弁護士から受けているとのことでした。
その内容が、唖然とするものでした。
その内容はサポートといっても後遺障害診断書の書き方についてのレクチャーのみで、それを被害者自身に医師に依頼させるというもの。
そして、そのレクチャーの内容がすべて的外れなレクチャーだったのです。

まず、大前提として、ムチウチの認定にとって決め手となる要素とは何か、をおさらいしておきます。
画像所見?神経学的な検査所見?
違います。決め手となる要素は、・主治医の意見(症状の一貫性について医師が認識していること) ・事故態様(受傷と症状との整合性) ・通院実績(しっかり治療(施術ではありません)を受けたうえで残存した症状なのか) ・症状の信用性(握力が極端に低下している、通常ありえないと考えられる可動域や検査結果、傷病に見合わない大げさな自覚症状、などが記載されていないこと)
ズバリ、この4点です。

考えてもみていただきたいのですが、仮にムチウチで画像所見が認定の決め手になるのであれば、20代30代の若い年代の被害者はほぼムチウチでの認定は受けれないことになります。(所見がないため)
それであるなら、そもそもそういった若い年代のムチウチ案件は受任すべきではないし、受任前に画像を確認して、『これは認定されません』とはっきりと相談者に申し上げるべきなのです。
また、仮に後遺障害診断書の内容ですべてが決まるのであれば、被害者の訴えに対して甘い医師が作成する後遺障害診断書が有利に働いてしまいます。そんなことになるほど、調査事務所の調査能力はお粗末ではありません。しっかりとポイントを見定めています。

さて、その被害者様が弁護士から受けていた後遺障害診断書のレクチャーの内容とは、
・自覚症状の欄に、とにかくたくさん日常生活で困ることを書いてもらうようにしなさい
・神経学的検査所見の欄に、スパーリング、ジャクソン、腱反射、MRI所見等多くの所見をしっかり書いてもらいなさい。これが最も重要
・予後欄に、緩解の見込みがないことを書いてもらいなさい
という内容でした。

お粗末どころか、むしろ認定の足かせになるようなアドバイスと言わざるを得ません。
まず、自覚症状についてですが、仮にその記載が日常生活上ありとあらゆる『困っていること』の記載が有利になるとしたら、単純に文章のうまい人が認定され、そうでない人は不利になることになります。
また、症状の感じ方は職業や生活内容で千差万別であるはずなのに、そこには客観性が何もありません。
そんなわけはないのです。
そんな多くの記載を求めれば、医師からの心証を悪くする恐れもありますし、また大げさな内容が含まれている場合、また常時の症状ではないように思われる内容が含まれている場合、むしろ認定に不利に作用してしまいます。
自覚症状は、『シンプルで明解に、大げさな表現は入れない』ことが大切なのです。

次に、神経学的検査所見についてですが、通常ムチウチで腱反射に異常が出るレベルは考えられません。ムチウチで腱反射が正常でも何もおかしいことではないのです。また、画像所見も含めてですが、正常な検査所見、異常のない検査所見をいくつ記載してもらったところで意味がないのです。むしろ、所見はないとあえてアピールしているようなものです。
通常、ムチウチの場合多くの検査が異常になることはありません。握力がガタ落ちすることもありません。
検査所見については、『スパーリングテスト、ジャクソンテストでもし陽性であればその所見を記載いただき、MRI所見については圧迫が認められる場合のみ客観的にそれを記載していただく』これで十分なのです。
握力が大きく低下している所見などは、記載されるとむしろ不利になります。もしそういう症状が出ているのだとしたら、それは事故による頸椎捻挫を原因としないものか、もしくは別の傷病を原因とするものか、そのどちらかです。

最後に、予後欄について。
これについては、『不明』『固定』もしくは空欄のままで大丈夫です。
ことさらに、『緩解しない』ことの記載を医師に求めることは愚策です。心証を悪くするだけです。最初から医師が『緩解しない』と記載していたのであれば、そのままでかまいません。
自賠責調査事務所も、医師も、ムチウチの症状が今後将来にわたってずっと続くとは最初から考えていません。
無理に医師にそのように書くように求めて心証を悪くする方が、結果的に不利です。
なぜなら、医師は後に自賠責調査事務所からの医療照会に対して回答するからです。その内容こそ大切で、医師の思ってもいないことを強要したところで意味がありません。

以上、こんなレベルのアドバイスでサポートか・・・と思わざるを得なかった案件でした。
この他には、『ことさらに、放射線科の医師に画像鑑定をかけようとする弁護士』も問題に感じています。
これは、その鑑定をかける趣旨などにもよりますが、多くのケースで『サポートをしているアピール』として画像鑑定が利用されている感があります。
つまり、ウチに依頼すれば、知り合いの放射線科の医師に鑑定書作ってもらいますよ、というセールストークとして利用しているのです。
さらに、その放射線科の医師というのは、大手コンサル会社のセミナーなどで紹介された、他の複数の弁護士が同じように使いまわしている医師です。
そして、鑑定費用については弁護士費用特約から回収し、つまりその弁護士は、依頼者に対しては鑑定してあげているという、後遺障害のサポートをしている口実に、また費用に関しては弁護士費用特約から回収し、労せず経費もかけずに後遺障害サポートの対応をしているのです。
おそらく、その弁護士はその画像鑑定が決め手にならないことは承知しながらそういう対応をしているのです。(もし承知していなかったとしたらそれはそれで問題ですが)

上記のような対応で、後遺障害の専門家を名乗っている弁護士・行政書士がいることに、非常に問題を感じています。
ムチウチの対応で最もやらなければならないこと、それは『医師と認識を共有すること』です。
何の認識かというと、『初診から固定日に至る症状の一貫性の有無の認識と、その症状の程度についての常識的な判断』についての共有です。これはさらに言うと、調査事務所からの医療照会に対する、医師、被害者の意識の共有ということになります。
このためには、『医師面談が絶対に欠かせないのです
何百例と医師面談を経験してきましたが、医師面談なしに理想的なムチウチの後遺障害サポートなどあり得ません。
ムチウチの被害者の皆様におかれましては、専門家への依頼を検討する時に、『医師面談を実施しているかどうか?』にぜひ着目していただきたいと思います。
医師面談も行わず、『後遺障害診断書の書き方のレクチャーのみの対応しかしない専門家』であったり、『すぐに画像鑑定をかけることによってサポートしていることをアピールする専門家』に遭遇した場合は、ぜひ当事務所までセカンドオピニオンという形でかまいませんのでご相談にお越しください。

-九

むちうちで後遺障害等級認定を受けるためには

むちうちで等級認定を受けるためには、どのような要素を満たす必要があるのでしょうか。
治療を続けても症状が一定程度残存したのなら、なるべくなら等級認定を受けて、賠償してもらいたいと思うのが当然の人情です。
ですので、認定のための要素について知っておく必要があります。

巷のホームページでも、いろいろ書かれていますね。
「画像所見が決め手である」「検査所見が決め手である」「後遺障害診断書が重要である」など。
これらは、間違いではありませんが、「決定的な要素」とは言えません。

MRI所見上、特筆すべき所見がない場合であっても認定されていますし、スパーリングテスト、ジャクソンテスト等の検査所見が正常を示していたとしても認定されています。また、これは・・・と思うような不十分に思える後遺障害診断書であっても、認定されているときは認定されています。

それでは、何が「決定的な要素なのか?」
それは、
・主治医の意見(医療照会への回答)
・治療実績
・受傷機転(事故状況)
です。

どんな検査所見、画像所見が得られていたとしても、受傷機転(事故状況)が軽微なものは認定されることはありません。
こすったような事故や、ほとんど破損のない追突事故などがこれにあたります。
ただし、急ブレーキを踏んだ、自転車から転倒した、などの状況はまた別です。

そして、著しく通院回数が少ないもの、主たる通院先が整骨院・接骨院であるものは認定されません。
よほど受傷機転が大きいものについては、これらの状況でも認定されていることはありますが稀です。
ほとんどないケースを取り上げて、「いや、認定されてますよ」と反論する行政書士などもいますが、例外をピックアップして説明してどうするんだ・・・といつも思います。

そして、やはり主治医の意見は絶大です。どんなにこちら側にとって理想的な後遺障害診断書を仕上げていただいたとしても、医療照会に対して医師がこちらの意図せぬことを回答していたら、それでは認定されることはありません。
つまり、後遺障害診断書の完成度も決して重要でないというわけではないですが、それよりもはるかに重要な要素は主治医の意見・お考えそのものなのです。

むちうちの認定は、「信用性の積み重ね」です。
その信用性を測るために、受傷機転、主治医の意見、治療実績が重点的に審査されるのです。
考えてみれば当然です。調査事務所は、「事故による症状」について審査しようとしているのです。
その際に、「どのような事故であったのか」「実際に被害者を直接見て治療を担当している医師はどういう意見か」「その被害者はどの程度リハビリ通院をしているか」について注目するのは、考えてみればごくごく自然なのです。

昨今はさまざまなホームページで、「画像所見」や「検査所見」についての重要性ばかり主張しているものが目立ちますが、まったく理解できていないと言わざるを得ません。
専門性を強調するために、あえてそのようなホームページにしているのだと思いますが・・・

重要なのは、「症状の信用性」です。この信用性をどこまで高めることができるのか、にかかっています。
受傷機転についてはあまりタッチすることができない要素ですが、主治医の意見については、医師面談を行い医師と意見を共有していく必要性が絶対に不可欠なのです。
そして、画像所見や検査所見は、信用性を高めるためのあくまで一要素に過ぎません。
さまざまな要素をできる限り満たしつつ、トータルで勝負しなければなりません。これが、むちうちの立証作業の要です。

後遺障害の立証といっても、すべて同じではなく、大きく分けて3つに分類できます。
・むちうち
・器質的損傷(骨折や靭帯損傷など)
・頭部外傷
です。
むちうちは大多数でありながらも、立証作業としては頭部外傷と同じく、特殊な作業・視点が必要です。
骨折などと同じような考え方ではダメなのです。

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