後遺障害の対応は早期の対応が不可欠【高次脳機能障害の場合】

後遺障害の立証は早期から開始することが望ましい、ということを肩腱板損傷、外傷性頸部症候群を例にこれまでご紹介してきました。

後遺障害の立証は早期の対応が不可欠【肩腱板損傷の場合】

後遺障害の立証は早期の対応が不可欠【外傷性頸部症候群の場合】

今回はご紹介する最後のケースとして、高次脳機能障害を取り上げます。
高次脳機能障害とは、脳挫傷や外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷など頭部外傷を原因とし、その後に残る様々な後遺障害のことをいいます。
高次脳機能障害につきましては、詳しくは当ホームページのコンテンツ、

高次脳機能障害


をご覧いただけましたらと思います。
さて、今回は高次脳機能障害の立証における早期対応の重要性について例を挙げてご説明させていただきたいと思います。

高次脳機能障害(脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫、等)の場合

・Aさんは横断歩道を青信号で歩行横断中に、右折してきた自動車に撥ね飛ばされ、頭部を強打し、すぐに救急車で救急搬送され、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫などの頭部外傷が診断されました。
幸い命に別状はなく、しばらく入院の後に経過観察で通院を続け、身体に麻痺が残ることもなく、会話も普通に行うことができ、一見すると全く問題ないと思えるほどにまで回復しました。
てんかん発作もなく、救急時から診ていた医師は、『もう問題なし』とのご見解で、事故後一年を経過した段階で症状固定とし、後遺障害診断を行いました。
医師が作成した『神経系統の障害に関する医学的意見』には、『問題なし』『生活に支障を及ぼすような障害は残っていない』等の記述がパラパラと書かれているのみでした。

・Aさんの家族も、Aさんの回復ぶりを喜び、自賠責保険に提出する日常生活状況報告書に、『日常生活において特に問題はない』という内容を記載して提出しました。
後遺障害の申請から三ヶ月後、結果が届き『12級13号』に認定されたとの結果の通知が届きました。
たまたまそのころに私たちの無料交通事故相談会が開催予定であったため、予約を入れて念のため話を聞きに来てくださいました。

・Aさんとそのご家族が持参された、後遺障害等級認定申請のために提出された資料を拝見すると、『頭部外傷後の意識障害についての所見』という書類に、『意識障害JCS100』との所見が見受けられました。
これは、事故当初の意識障害がかなり重篤であったことを意味します。
CTやMRI画像も拝見したところ、びまん性軸索損傷を疑わせるような点状出血も確認することができました。
これは、頭部外傷後の高次脳機能障害を疑う必要があるのではないか?と相談会で我々は判断しました。
また、T2スター検査を医療機関に依頼し、脳外傷の全体像をしっかりと描出しておくべき必要性を感じました。
そこで、高次脳機能障害の専門医をご紹介し、病院同行を行い高次脳機能障害についての検査である神経心理学検査を、画像所見に照らしていくつか検査項目を組み立て、専門医にオーダーしました。

・その結果、注意障害や遂行機能障害など、いくつかの能力が低下していることが判明したAさん。
日常生活では把握することができなかったレベルでの様々な能力低下が明らかになりました。
今後、仕事に復帰するうえで様々な困難やそれに対処するための特別な努力が必要となることが予想されます。
人間関係も今までのように円滑に行かない可能性も十分に考えられます。
したがって、神経心理学検査のデータ、T2スターの検査結果、さらに検査を実施・評価した専門医の診断書を添付して異議申立を自賠責保険に対して行いました。
しかし、結果は『12級13号』のままでした。12級13号とは、高次脳機能障害を否定されていることになります。(高次脳機能障害としての最低等級は9級10号)
つまり、高次脳機能障害としては評価されず、痛みなどの神経症状として12級が認定されているに過ぎないのです。
異議申立への自賠責からの回答は、『すでに初回申請で提出済みの日常生活状況報告書において、日常生活で特に問題はないという記載があることに加え、初回申請で提出されている医師の作成した神経系統の障害に関する医学的意見においても、特に問題はないとの記載から、異議申立において提出された様々な所見は症状固定後に別の要因によってそのような状態になったと考えられ、本件事故による障害としては認定することが困難である』という主旨でした。

Aさんとその家族はどのように対応すべきだったのか?

・脳挫傷やくも膜下出血など、脳内出血については脳神経外科の医師が担当します。
脳神経外科の医師は、脳内の出血や腫れについて治療することについて専門家ですし、しっかりと対応してくださいます。
つまり急性期においてはプロフェッショナルですが、経過観察をしていくうちにさらなる出血の可能性もほぼなくなり、慢性期となった段階では、基本的には『治った』と判断なさいます。

・しかし、後遺障害の立証なおいて大切なことは、慢性期以降の症状です。
慢性期になれば、目に見えにくい、また日常生活ではわかりにくい高次脳機能障害の有無について神経心理学検査を実施し、専門医に評価していただくべきでした。
それらの検査結果と専門医の診断に基づいて、冷静に被害者の状態を分析したうえで、その内容を日常生活状況報告書にしっかりと落とし込む作業を行うべきでした。
また、併せてT2スター検査を実施し、事故当時では十分に描写されなかった可能性のある出血痕など、脳のお怪我の全体像をしっかりと描出しておくべきでした。
すでに立証の時期を逸していたAさんとそのご家族。賠償額にすれば数千万円を取り損ねたことになります。
Aさんは、今後障害と付き合いながら今後の人生を送っていかなければならないだけに、非常に悔やまれる結果です。

高次脳機能障害の立証はとにかく綿密に、そして計画的に!

・高次脳機能障害に限ったことではありませんが、後遺障害が残存しているにも関わらず、適切なタイミングでの立証を逃してしまったために、症状が残存していることが検査等で分かっているにもかかわらず後遺障害として自賠責に認定されず、賠償額等で泣き寝入りを余儀なくされている被害者様が大勢いらっしゃいます。
私たちは、そういった被害者様を一人でもなくしていこう、という目標のもと、様々な専門医やクリニック様と連携して対応を行っています。
交通事故に遭われましたら、とにかくまずは当事務所の無料相談をご活用ください。
早期の対応こそが肝心なのです!

高次脳機能障害 介護料請求のための立証について②

遂行機能障害

介護スコアでは2または1に該当します。
生活上必要な情報を計画して実行していく作業が困難になります。
遂行機能障害では、計画、実行、確認が困難となり、支持されたことには対応できるが、自分からは能動的に動けない、また2つ以上の作業を同時に行うことができない、といった障害が現れます。
見守りや声掛けがないと、ミスや勘違いが頻発します。

失語

介護スコアでは、2もしくは3に該当します。
・話す内容が文章にならず、会話が成り立たない
・同じことを何度も言う
・相手に話したいことが上手く伝えられない
・簡単な単語が出てこない
・張力は正常であるが、音に対して反応ができない
などの症状があります。

半側空間無視

介護スコアでは、1または2またはに該当します。
眼自体は正常ですが、左側の物について見落とし認識ができない状態です。
食事の時に左側にあるものに手を付けない、歩いているとだんだん右側に寄っていく、左側にあるものによくぶつかる、などの症状があります。

記憶障害

介護スコアでは、1、2または3に該当します。
・少し前に話したことを忘れる
・約束を守ることができない
・物をよくなくす
・曜日や時間がわからない
などの症状があります。

地誌的障害

介護スコアでは、1または2に該当します。
・地図を読むことができない
・道がわからなくなることが多く、自宅にたどり着けない
・今何階にいるのかわからない
などの症状があります。

失行

介護スコアでは、2または3に該当します。
今までできていた行動ができなくなります。
例えば、箸をもってもその使い方がわからなかったり、櫛をもってもその使い方がわからない、などの症状があります。

失認

介護スコアでは、2または3に該当します。
触覚失認、聴覚失認、視覚失認、身体失認、病態失認があり、それぞれ今まで認識できていたことができなくなります。

社会的行動障害

介護スコアでは、2または3に該当します。
・易怒性
・こだわりが強い
・羞恥心の欠如
・自傷行為
・妄想
などの症状があります。対人関係が上手くいかなくなり、良好な対人関係の維持が困難となります。

てんかん

介護スコアでは、3に該当します。
1日に2ないし3回の抗痙攣剤の内服が必要で、1人での外出が困難となります。

尿崩症

介護スコアでは、2または3に該当します。
頭部外傷を原因とする中枢性尿崩症では、抗利尿ホルモン作用のあるデスモプレシンを点鼻する必要があります。

介護料の請求のための立証を含む、高次脳機能障害についての無料相談を随時承っております。
お気軽にお問合せください。

高次脳機能障害 介護料請求のための立証について①

高次脳機能障害における介護料

高次脳機能障害において、介護料の請求は後遺障害等級によって決まる、と考えられている専門家が多くいます。
しかし、それは誤りです。
介護料は後遺障害等級によって決定されるものではなく、被害者の支障の実態で決まります。

例えば、高次脳機能障害の等級が2級1号、3級3号であっても、高次脳機能障害の症状を細かく立証していくことで、介護メーターのスコアが18点以上であることを立証できれば、常時介護を請求可能となります。
5級2号であっても、日常生活における支障を細かく立証することで、日額1000円、2000円、3000円、5000円の介護料が認定されることがあります。
裁判では、介護スコアに基づいて、高次脳機能障害の支障をしっかりと立証して介護料の請求について検討していく必要があります。

介護スコアとは

着替え、洗顔、食事、トイレ、服薬、入浴、遂行機能障害、記憶障害、地誌的障害、半側空間無視、失認、失行、失語、社会的行動障害、てんかん、尿崩症、について、それぞれ3(要介助)、2(要声掛け)、1(要見守り)、0(自立)の点数で立証していきます。
例えば服薬の項目では、自分で薬を出して内服していれば自立、内服し忘れがたまにあれば見守り、指摘しないと内服しない場合は声掛け、全く内服ができない場合は介助となります。

高次脳機能障害についての無料相談を随時承っております。
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後遺障害診断書

遂行機能障害への具体的対応 ~高次脳機能障害~

遂行機能障害について

目的に対してとる有効な行動についての認知機能を遂行機能と言います。
目的のために必要な計画、手順、実行を上手く行えない障害が遂行機能障害です。
遂行機能障害の立証には、前頭葉機能検査(FAB)、ウィスコンシンカードソーティングテスト(KWCST)、トレイルメーキングテスト(TMT)、かな拾いテスト、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)などの検査で立証します。

遂行機能障害の症状

・買い物で必要なもの以外を買う
・食べ終わっても食べ続けるようとする
・交通機関の乗り換えができない
見通しが立てられない
・計画を立てて物事を進められない
・すぐにあきらめてしまう
・不確定要素に遭遇すると対処できずパニックになる
・指示されないと行動できない
・時間の配分が上手くできない
・思い付きで計画を立てずに行動する
・外出着のまま就寝してしまう
などがあり、遂行機能障害の症状は多岐にわたります。
遂行機能障害の被害者様の対応の経験の中で強く感じる特徴的な症状は、『見通しが立てられない』という症状です。

遂行機能障害への具体的対応

・手順や行動について、言語化して行動する(声に出して確認しながら行動する)
・視覚的に確認できるメモや絵カードを活用する
・複数のことは行わず、一つのことを終わりまでやり遂げるようにする
・何事も時間の余裕をもって行う
・計画をカレンダーなどに書き出して、頭の中だけで処理するのではなく書いてから行動する
これらの対応が遂行機能障害には効果的です。

まとめ

遂行機能障害は高次脳機能障害の障害の中でも症状が非常に多岐にわたり、立証にはさまざまな神経心理学検査で障害をあぶりだす作業が必要です。
高次脳機能障害の立証について、無料相談を随時承っております。
フリーダイヤルにてお気軽にご相談ください。無料出張相談にも対応しております。

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注意障害への具体的対応 ~高次脳機能障害~

注意障害について

注意機能は、脳機能全体の土台の役割を果たしています。
注意機能が障害されると、他のすべての認知機能に影響を及ぼします。
別の言い方をすると、注意障害なしに記憶障害や遂行機能障害はありえないと言えます。

注意障害は、WAIS知能検査の下位項目、PASAT、TMT、K-ABC、ベンダーゲシュタルトテスト、フロスティッグ視知覚発達検査などの検査で立証していきます。

注意障害の症状

・外からの刺激で容易に注意をそらされる
・集中できない
注意が散漫でミスが多い
・耳は聞こえているのに話しかけられても反応しない
・よく物をなくす
・持続力がない
・居眠りが多い
・物事をきっちり完成させずに次のことにとりかかろうとする
など、注意障害の症状は非常に多岐にわたります。
私が対応させていただいた中で強く感じる特徴的な症状は、『注意が散漫でミスが多い』という症状です。
高次脳機能障害の患者様では、ほぼ全員に見られる症状であるように感じます。

注意障害への対応

・集中力を高めるため、反復刺激によって注意機能を刺激する訓練を行う
・行動療法を取り入れた訓練を行う
・名前を呼ぶ、肩をたたく、など注意を引き付けてから指示をするように心がける
・何事も目標を設定する
・見通しを簡潔にし、スケジュールを明確にする
などの対応が効果的です。

まとめ

注意障害の立証は、高次脳機能障害の立証全体に影響する非常に重要なファクターです。
意識障害の立証、画像所見の獲得と同様に、非常に大切な要素です。
注意障害の立証で躓くと、高次脳機能障害の立証はやや暗礁に乗り上げることになります。
そのためにも、注意障害にの立証については粘り強く対応していく必要があります。
まちがっても、WAISのみの検査で終了、というような対応は避けなければなりません。

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失語、半側空間無視への具体的対応 ~高次脳機能障害~

失語について

左大脳半球の損傷によって起こる言語機能の障害を、失語といいます。
左大脳半球が損傷を受けていることが画像で確認できるときは、失語の症状と思われるものが現れていないと思われる場合でも、失語の検査を受けるべきです。
言語・コミュニケーション機能の評価には、標準失語症検査(SLTA)、ITPA言語学習能力診断検査などで立証していきます。

失語の症状

・滑らかに話すことができない
・話し方が遅い
・発音が不明瞭
・質問に適さない答えをする
・聞いたことが理解できない
・話しかけられて答えられない
・新しい言葉を覚えにくい
・文字を読めない
・文字を書けない
などの症状があります。

私が対応させていただいて経験してきた中では、『滑らかに話すことができない』という症状が特によく見受けられる症状であると感じます。

失語への対応

・できる限り1対1で会話をする
・ゆっくりと、よく知っている言葉で話す
・書いて示す
・ジェスチャーを交える
・疲れているときには休息をとる
これらが、失語の患者様への対応には大切です。
失語に対する、周りの心理面でのサポートが必要です。

半側空間無視について

半側空間無視は、何かしらの刺激に対して大脳病巣の反対側に与えられた刺激に反応しない状態を言います。
半側空間無視は、その多くが左半側空間無視です。

半側空間無視の症状

・右側にあるものを見落とす
・左側の物を食べ残す
・左側の人や物にぶつかる
・道路や廊下で左に曲がれない
・麻痺がないにもかかわらず、左手を使わない
などの症状があります。

半側空間無視の立証と対応

半側空間無視は、行動性無視検査(BIT)の中の、星印抹消課題と線分抹消課題によって立証します。
・物の大きさや配色に配慮する
・廊下の床にテープで印をつけ、それをたどって往復する訓練をする
・視覚探索活動と全身運動を組み合わせた訓練をする
等の対応で改善を目指していきます。

まとめ

失語、半側空間無視は、高次脳機能障害において特徴的な症状です。
これらの症状が実際に発症しているのかわかりにくい場合であっても、画像で読み取れる所見から実際に検査を受けておくべきケースもあります。
高次脳機能障害の立証について、無料相談を承っております。
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被害者請求
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失行、失認への具体的対応 ~高次脳機能障害~

失行とは

左前頭葉の損傷に起因する障害で、『事故前にできていたことができなくなる、やり方がわからなくなる』という障害です。
失行には、観念失行、着衣失行、観念運動失行、肢節運動失行などがあり、最もよく見られるのが観念失行です。
観念失行とは、『道具の使い方がわからなくなる』障害で、経験的には失行の障害がある患者様にはよく見られる症状であると感じます。

失行の症状

・事故前まで普通に使えていた道具の使い方がわからない
・衣類の着衣ができない(上衣と下衣の区別がつかない、左右や裏表の区別がつかない)
・物の数が増えるとそれに対応ができない
・事故前に乗れていた自転車が乗れない
・まちがった物の使い方をする
・言葉で指示された動作ができない
などの症状があります。
検査での立証はやや難しく、医師による神経系統の医学的意見や日常生活状況報告書で立証に厚みを持たせる必要があります。

失行への対応について

できない動作の中で、具体的にどの工程ができないかを把握し、その動作について訓練をしていきます。
周りの人はそのことに理解をし、心理面で支援をすることが大切です。
やさしい動作から徐々に難しい動作へと訓練を行い、また発声を伴って行うとさらに良い改善が得られます。

失認とは

失認とは、ある対象について認識ができない障害です。
視覚失認、聴覚失認、身体失認、触覚失認などがあります。
対応させていただいた経験的には、視覚失認、聴覚失認は失認の症状の中ではよく見られるものです。
例えば資格失認は、『眼に器質的損傷がなく、視力や視野も問題がないが、物の形が把握できない(物の形とその意味を関連付けることができない)』障害です。

失認の症状

・見落としが多い
・同時に二つのものが見えない(認識できない)
・図形がわからない
・漢字が読めない
・中心部より周辺のものがわかりやすい
などの症状があります。
ベントン視覚記銘検査、Reyの複雑図形の検査、WISC-Ⅲの下位項目で立証していきます。

失認への対応について

まずは視力、視野、視覚について正確な検査を受け、それらに異常があればそれを矯正した上で、全般的な注意覚醒レベルを向上させていきます。
理学療法や運動も効果的です。
また、情報は発声することを心がけ、ペグボードの構成課題や積木模様の構成課題を行っていきます。
周りの人の理解と心理面でのサポートも大切です。

まとめ

高次脳機能障害における、失行、失認について記事にしました。
交通事故による高次脳機能障害について、無料相談を随時承っております。無料出張相談も対応しております。
フリーダイヤルにてお気軽にご相談ください。
交通事故解決には入念な準備が必要です。
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固執性、発動性の低下への具体的対応 ~高次脳機能障害~

この記事では、高次脳機能障害における症状で、『固執性』と『発動性の低下』についてピックアップし、その対応について述べます。

固執性の症状

高次脳機能障害における固執性の症状には、以下のようなものが挙げられます。
・物事に対して切り替えることが難しい
・途中でルールが変更されると混乱して対応できなくなる
・言い出したら頑固で人の言うことを聞かない
・臨機応変な対応が難しい
・状況が変わったときに混乱する
・融通が利かない
・眼前のことが気になってしかたない

固執性、というと『頑固で言い出したら聞かない』という印象が強いと思います。
たしかに、それも特徴的な症状の一つではあるのですが、高次脳機能障害の場合はむしろ、『状況が変化したときにそれに対処することができずパニックになる』という症状が特徴的であると、高次脳機能障害の案件をいくつも対応させていただいた当方の経験ではそのように思います。

また、固執性については神経心理学検査で立証できることはかなり限られていますので、医師の書く『神経系統の障害に関する医学的意見』や『日常生活状況報告書』において立証に厚みを持たせることが大切です。

固執性への対応

環境を整えることが大切です。
・状況が変わりそうなときは事前に周りの人がその理由について説明をする
・情報はなるべく事前に伝える
・できるだけスケジュールなどの予定の変更はしない
といったように、患者様が混乱しないように、周りの人が患者様の心理面をサポートできるような環境を整えることが大切です。

発動性の低下の症状

高次脳機能障害の発動性の低下(意欲の低下も含む)の症状については、以下のようなものが挙げられます。
・他人に興味がわかない
・表情がかたい
・ぼんやりしていることが多い
・外出を嫌う
・課題を最後までやり遂げることができない
・やる気がでない
特に、『他人に興味がわかない』というのは経験上、特徴的に思われます。

発動性の低下への対応

患者様の心理面でのサポートが必要です。
・必要以上に励まさない
・孤立させない
・声かけをする
・定期的な日課を示す
といった周囲のサポートが、発動性の低下の改善には効果的であると言えます。
発動性の低下は、高次脳機能障害の様々な症状においてその土台ともいえる部分の障害です。
まずは、この発動性の低下の改善が求められます。

まとめ

高次脳機能障害の症状の中で、『固執性』と『発動性の低下』をピックアップして、その対応について紹介しました。
高次脳機能障害には様々な症状があり、その対応方法も様々です。
交通事故における高次脳機能障害の立証についての無料相談を承っております。フリーダイヤルにてお気軽にお問合せください。出張相談にも対応いたします。

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高次脳機能障害の回復過程

高次脳機能障害の回復には、順番があります。
また、高次脳機能障害の回復過程について見てみると、そこから高次脳機能障害の仕組みも見えてきます。

高次脳機能障害の回復について

高次脳機能障害の回復には、ある程度順番があります。
まず、回復する機能から順位付けすると、
易疲労性⇒抑うつ性・発動性の低下⇒注意障害⇒情報処理能力の障害⇒記憶障害⇒遂行機能障害
となります。
まずは精神的疲労が改善しない状態では、発動性の低下が回復していくことはありません。
そして、発動性の低下が改善しなければ注意障害の改善もなく、注意障害⇒情報処理能力の障害⇒記憶障害⇒遂行機能障害の順で高次脳機能障害は回復していくことになります。

回復からわかる高次脳機能障害の仕組み

この、高次脳機能障害の回復過程からわかる高次脳機能障害の仕組みがあります。
よく、法律事務所や行政書士事務所のページでは、画像による脳損傷の部位と症状の合致によって整合性を見出す、ということをホームページ上で載せておられます。
それは、正しいことではありますが、症状の整合性を考えるのであれば、もっと重要なことがあります。
それは、注意障害が高次脳機能障害のベースとなっているということです。

上記回復過程を見ていただきたいのですが、易疲労性、発動性の低下が改善された後に、次に回復するのは注意障害であることがわかります。これは、その上の段階である遂行機能障害、情報処理能力の障害、記憶障害が、注意障害を前提・土台にした障害である、ということなのです。
つまり、注意障害が正常なのに記憶障害だけが著しく悪い、とか、注意障害や記憶障害に障害がないのに遂行機能障害だけが著しく障害域にある、というのはあり得ない、ということなのです。

ですので、画像だけに頼った分析ではなく、神経心理学検査結果における症状の整合性の分析の方が実は重要であり、神経心理学検査結果は、見る人が見ればそれが整合性のあるものであるのかそうでないのかは明らかである、と言えます。
従いまして、注意障害が正常であるのに、遂行機能障害や記憶障害のみが障害域である場合、我々としては立証において苦境に立たされることになります。さらに他の検査等で別の角度から注意障害について追いかけていくことが必要となります。

検査ですから、患者様のその検査を受ける日の体調によっても検査結果は影響します。そういった要素が原因となる可能性もありますので、神経心理学検査にはやはりベストな体調と精神状態で臨むべきであり、どうしても体調や精神状態が芳しくないときは、検査日を別日に変更するべきです


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記憶障害についての具体的対応 ~高次脳機能障害~

高次脳機能障害における記憶障害について

記憶障害とは、新たな情報を覚え、必要な時にそれを思い出すことができない状態のことをいいます。
記憶、と一言で言っても、記憶には様々な種類があり、短期記憶(電話番号を見てすぐに電話をかけるその間の記憶)、長期記憶(必要な時まで覚えておく記憶)、エピソード記憶(昨日実際に自分に起きた出来事の記憶)、手続き記憶(自転車の乗り方など、実際に習得した技術の記憶)、意味記憶(知識的な記憶)、などに分類されます。

交通事故による脳損傷が原因の記憶障害の場合、これらの内では短期記憶や即時記憶に障害が出ることが多く、新しいことが覚えられなかったり、つい先ほどのことを忘れてそのことを問われても思い出せない、といった症状が特徴的です。
記憶障害は、前頭葉の損傷、側頭葉の損傷で起きることが多く、脳損傷による高次脳機能障害の症状としては、非常に多く見られる症状です。

記憶障害の症状

・一度に一つのことしか覚えられない
・新しいことが覚えられない
・道順がわからなくなる
・鍵をかけ忘れることが多い
・話の筋を言えない
同じことを何度も聞く
話すときになかなか言葉が出てこない
・作り話をする
などが特徴的な症状です。
私の経験上では、特に太字の症状については非常によく見られる特徴的な症状であると感じています。
ベントン視覚記銘力検査が代表的な記憶障害の検査です。しかし、記憶の種類によって、他にも様々な検査を実施し、医学的な証拠をそろえる必要があります。

記憶障害への対応

記憶障害の患者様にとって大切なことは、
・生活のリズムを整える
・病識を確立し、自覚を高める
・物の配置をわかりやすくして、物をなるべく探さないで済むように整理整頓をする
・声に出して覚える
・メモをとるようにする
・スケジュール表を作成する
などの対応が大切です。
また、周りの人が理解を深め、環境を整えることで心理的支援をすることも大切です。
患者様が安心感を感じる環境を整え、その環境の中で自然と「記銘と想起」が反復できるような体制が望ましいと言えます。


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