足関節の外傷と3DCT

CTの有用性の一つとして、骨癒合の確認に優れている点が挙げられます。
MRIでは判然としない骨癒合の状況が、CTでは容易に可能であることが少なからずあり、また3DCTによって立体画像として360度から確認可能であり、このことは足関節の外傷においても当てはまります。

足関節脱臼骨折を例に

足関節脱臼骨折の場合、3DCTを用いることで関節面の確認、骨折部の転位の把握が明瞭となり、骨折線の走行、骨片の状況まで確認可能です。全方向からの確認が可能であるため、全体的な形態の把握が容易となります。

距骨骨折を例に

距骨骨折は周囲が関節面となるため、非常に重傷です。
治療が困難な骨折であり、壊死を生じやすい骨折であるため、骨折型や転位の程度の把握は、後遺障害についての予測にももちろんですが、治療上でも非常に有意な情報となります。
一つの基準としては、骨折が距骨下関節面に及んでいるかどうか、がポイントになります。
骨折が距骨下関節面に及んでいる場合は、非常に重篤であるため、10級11号の認定を視野に入れた立証が必要となります。
その把握に、3DCTは非常に有用です。
MRIでは、出血、浮腫が画像に描出されるため、不鮮明な画像所見となってしまいます。

踵骨骨折を例に

関節面の陥没の程度、外側壁の突出を捉えるのに3DCTは非常に有用です。
ただ、骨折線の走行について把握するには従来の2DCTが適しています。
術前は2DCTで確認、術後は3DCTが用いられているケースが多いようです。外形的な変形については3DCT、陥没した関節面の評価については2DCT、といったように使い分けることが必要となります。
いずれにしても、足関節の外傷の中でも最も3DCTの恩恵が大きい傷病名であると言えます。

まとめ

CTは確かに、軟部組織の描写が不得手であるため、MRIより有用性が低いと捉え勝ちです。
しかし、MRIは炎症、出血、浮腫を画像として捉えるため、骨折部の正確な把握が逆に困難となる場合があり、また骨折部は骨癒合が完成した後でも低信号として描出されるため、骨癒合の程度の把握には適していません。
MRI、3DCT、2DCTそれぞれの特徴を理解したうえで、検査の目的を明確に遂行することが可能な選択をそれぞれ行っていくことが大切であると言えます。
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後遺障害認定には常識性が問われる

後遺障害の認定には、常識が問われます。
いくつもの案件に対処させていただいて、強く感じることです。
どういうことかと言いますと、常識的な治療、常識的な受傷機転、常識的な症状、常識的な所見、これらが整った状態でなければ、後遺障害の認定はないということです。

常識的な治療

例えば、月に2回程度しか通院していない、ですとか、病院での受診をせず整骨院ばかりに通院している、などのケースです。また、症状があるにもかかわらず、その症状についての精密検査が行われていない状態です。
症状があるなら医師に診てもらい、まじめに通院しますよね?常識的には
簡単に言うとこういうことです。

常識的な受傷機転

どのような事故態様でその怪我に至ったのか、というのが受傷機転です。
自転車と自動車の接触事故だが自転車は転倒していない、自動車同士の接触だがかすった程度、駐車場内の逆突事故でほとんどスピードが出ていない、などのケースです。
これらの軽微な事故の場合、いかに医学的な資料が他に揃っていたとしても等級の認定はありません。
その事故でその受傷?ありえない。それは、元からある症状もしくは事故とは別の何かが原因と考えるのが自然です。常識的には
簡単に言うとこういうことです。

常識的な症状、常識的な所見

追突事故のむちうちで視力が大きく低下した、腰椎捻挫で痺れのために歩行ができない、関節面に至る骨折ではないのに著しい可動域制限がある、などのケースです。
医学的な根拠があり、それが症状と整合性を伴っていないと、等級の認定はありません。
少なくとも神経症状で14級が認定された可能性があったにもかかわらず、そういう不整合がある場合は非該当となります。
症状に伴った器質的損傷が発見されている場合は、当然に問題ないのですが(右膝打撲の傷病だったが、MRI撮影を行ったところ半月板断裂が発見された、など)、傷病名に伴った常識的な範囲の症状の訴えでなければ、信用性がなく認定がなされないのです。
その傷病でそれだけの症状はありえない。その骨折の部位で、常識的にそれほどの可動域制限が生じるわけないですよね?
簡単に言うとこういうことです。

まとめ

後遺障害の認定には、常識的な判断、条件が整うことが大切です。
これらの点につき、とんでもないアドバイスを行う専門家も多いのが実情です。
例えば、『保険会社から打ち切られるまでは治療をなるべく伸ばす方向でいきましょう』などというアドバイスです。
しかし、例えばむちうちで1年間の通院などをやると、常識性が疑問視されます。等級認定において、著しく不利となります。
専門家から言われたアドバイスについて、疑問がある方は、当事務所までフリーダイヤルでご相談ください。

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骨盤骨折の立証における3DCTの有用性

骨盤骨折の確認における3DCT

骨盤骨折では、骨盤後方部分の骨折の確認が、その後の後遺障害の立証において必要不可欠な情報となります。
それはなぜかというと、骨盤後方部分の損傷の程度が、骨盤輪の安定性に大きく影響するためです。
そのため、レントゲンでは確認が難しい骨盤後方部の状態を正確に描出するため、3DCTは非常に有用な画像所見となります。

特に、骨片の回旋変形と転位が確認しやすいため、有用な所見となります。
しかし、3DCTでも不得手な要素があり、それは転位のない骨折の場合、骨折線が描出されにくい、という点です。
転位のない骨折の場合は、3DCTの撮影は必要性が乏しいと言えます。

仙骨骨折を例に

仙骨骨折の場合、レントゲンの正面像では、腸管のガス像による影響を受けるため、骨折の状態の確認が非常に困難となります。
しかしながら3DCTを活用すると、仙骨孔部を下から見上げた画像所見が得られ、また後方からの画像で仙骨の骨折の状態や転位を明確に把握することが可能となります。

寛骨臼骨折を例に

寛骨臼骨折では、レントゲンによって骨折型の多くが診断可能ですが、腸骨内板と外板の骨折線が同一面上にないため、レントゲンでは骨折線が重なることになり、正確な骨折の状況の把握が困難である場合があります。
3DCTでは、骨頭を取り除いた関節内画像や、骨頭の関節面を描出することが可能であり、寛骨臼骨折では損傷側の骨盤片側のみを描出し、反対側の画像の重なりがなく把握できるため、骨折の状態が明瞭に把握可能です。
関節面の状態の把握、という意味では3DCTの効果は絶大です。

骨盤骨折と3DCT まとめ

3DCTは画像の回転が可能であり、骨盤片側のみの把握や骨頭を取り除いた関節面の把握が可能であるため、骨盤骨折や寛骨臼骨折の立証には非常に有用です。
しかし、転位のない骨折においては骨折線が判別しにくくなるため、有用とは言えない側面もあります。


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脊椎の外傷と3DCT

脊椎外傷とCTによる立証について

脊椎の外傷では、特に急性期において3DCT撮影が有用です。
よく、骨癒合の確認のために、症状固定時期に3DCTの撮影で立証が大切であるする専門家が多いですが、私は急性期にこそ3DCTが有用であると考えています。

まずは、3DCTがなぜ有用であるのか、という点についてですが、ズバリ、余分なパラメータを除去できることです。
他の関節する組織を除外して確認することが可能なため、レントゲンでは見られない所見も描出することが可能なのです。
頸椎脱臼骨折で下位頸椎の場合であると、骨折・脱臼の形態がレントゲンでは不明瞭となります。しかし、3DCTでは関節面の描出が可能であるため、頸椎骨折の椎体後方骨片に関する所見が得られ、その後の治療上非常に有用となるのです。
手術の適用が必要かどうか、など今後の治療方針にかかわる情報が得られるため、3DCTは急性期においてこそ、その有用性を発揮するのです。

胸腰椎損傷と3DCT

圧迫骨折では、レントゲンの場合後壁損傷を伴う骨折を見おとす可能性があり、その場合において3DCTは非常に有用です。
破裂骨折の場合は、レントゲンでは陥入骨折が明らかでなく評価が難しい場合に、3DCTで評価が可能となります。
レントゲンでは証明できなかった陥入骨折を立証できる場合があります。
脱臼骨折では、椎弓、椎弓根、棘突起、関節突起などの骨折を伴う場合、その評価がレントゲンでは難しく、骨折形態、骨折の連続性を把握するためには3DCTで描出することが有用となります。
それらは急性期でなければ獲得できない情報であるため、急性期の3DCTは非常に重要です。

まとめ

3DCTは、骨の状態を把握するという用途においては、他の画像診断よりも正確で、明瞭に描出が可能です。
頸椎の外傷においては、脊髄の損傷等を明確にするため、MRI画像が必須です。
それに加えて、骨折を伴う場合には3DCTで骨の状態を明確にすることで、立証はさらに万全となります。
ヘリカルCTの登場で、撮影時間も劇的に短縮されており、被害者の負担も大きく軽減されています。
骨折を伴う頸椎の外傷において、3DCTはMRIのみならず重要な立証手段であると言えます。


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排尿障害における検査の必要性について

排尿・排便障害は、腰椎圧迫骨折や仙骨骨折で発症することが多く、このときは、脊髄の腰~臀部の馬尾神経が病原部位となります。
この神経に圧迫、損傷があると下肢に痺れ、歩行障害と並び排尿・排便に異常が起きます。
頭部外傷や頸髄損傷でも稀に発症することがあります。

腰椎捻挫、むちうちを原因として排尿・排便障害に悩まされる被害者様を多く経験しています。
「尿の回数が増え、尿が出辛くなった」
これについては、膀胱内圧検査が一般的です。しかし、私の経験では多くの泌尿器科ではあまりこの検査を積極的には実施しません。
「尿が出辛いから治療に来ているのに、出辛いことを検査してどうするのか」
というのが多くの治療先での見解です。
しかしながら、後遺障害について審査をする調査事務所や保険会社等は、証拠を提出しない限り、「尿が出辛い」ことについて認めてくれません。したがって、検査によって尿の出辛さを明らかにしておくことは絶対に必要なのです。

さらに、検査の必要性はそれだけではありません。
排尿障害といっても内圧の不調によるもの、括約筋の不全を原因とするもの、など原因は1つではなく、それらの原因に対応した治療が必要です。
例えば、カルーテルを使用している閉尿の患者に対し、お腹を押して排尿を促すような指導が実際に行われています。
ところが、閉尿の原因が括約筋不全であるなら逆効果で、さらに増悪する恐れもある、と昨年お会いした泌尿器科の専門医はおっしゃっておられました。
検査の重要性についての認識は、治療先の医師によって大きく差異があり、そのあたりは我々の業務においても大きな克服すべき課題点となっています。

現在、膀胱の内圧を計測するだけではなく、いくつかの検査を総合したウロダイナミクス検査が最先端ですが、町の泌尿器科の多くは設備がなく、大学病院クラスの検査先の確保が必要です。


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排尿障害について

排尿障害

・7級5号『持続性尿失禁を残すもの』『切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、終日パッドを装着し、かつ、パッドをしばしば交換するもの』
・9級11号『残尿が100ml以上のもの』『切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため常時パッドを装着しているが、パッドの交換を要しないもの』
・11級10号『残尿が50~100未満のもの』『尿道狭窄のため、糸状プジーを必要とするもの』『切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、パッドの装着は要しないが下着が少し濡れるもの』
・14級相当『尿道狭窄のため、糸状プジー第20番が辛うじて通り、時々拡張術を行う必要のあるもの』

膀胱の畜尿量は200~300mlであり、150mlで軽い尿意、250mlで強い尿意が起こります。
排尿は、1日1500ml、昼間の覚醒時で4、5回、夜間の就寝時で2回、合計7回の排尿が成人の平均と言われています。昼間の覚醒時で8回以上、夜間の就寝時で3回以上の排尿を頻尿と言います。

くしゃみ等の生理的な反射や階段の昇り降りなどの動作をきっかけに、お腹に力が加わったときに起こる尿失禁を腹圧性尿失禁、前触れもなく尿がしたくなり、その高まりが急なためトイレまで間に合わなくて失禁してしまうのが切迫性尿失禁と言います。
検査と立証は、泌尿器科におけるウロダイナミクス検査で立証する必要があります。

ウロダイナミクス検査とは、排尿時の膀胱、膀胱内圧・排尿筋圧測定と尿道、尿道括約筋筋電図の働きを同時に記録することにより、排尿障害の病型を診断する検査です。
従来の膀胱内圧検査を含み、様々な病態を計測することが可能となっています。
畜尿から排尿終了までの間の膀胱内圧、腹圧(直腸内圧で測定)、排尿筋圧、尿道括約筋活動、尿流などを測定し、排尿障害の部位や程度を総合的に診断します。
排尿障害の立証には、専門医とウロダイナミクス検査の設備のコンビネーションを備えた治療先の確保が何より重要です。

被害者請求
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脊柱の圧迫骨折

自動車の横転や転落、バイクや自転車での転倒、などで頻発するのが脊柱の圧迫骨折です。
好発部位は、第11胸椎、Th11~第2腰椎です。
骨粗鬆症が進行している高齢者などでは、比較的軽微な事故でも胸椎や腰椎に圧迫骨折を発症することがあり、その場合は素因減額が問題となるため非常に困難を伴う賠償交渉となります。

圧迫骨折の骨折部は、時間の経過によって仮骨が形成され、形状がやや戻ることがあります。
骨折部が安定している場合は、ギプスやコルセットで固定、仮骨形成を待ちます。
骨折部が不安定な場合は、手術が選択されます。
上肢や下肢に麻痺が残存した場合は、装具の装着やリハビリ治療で改善を目指します。
椎体の骨折が大きく、骨片が椎体の後方の脊髄や神経根を圧迫し、下肢の感覚を失ったり、力が入らない場合は、手術で圧迫された神経を開放します。

圧迫骨折の立証について

脊柱の変形障害については、
・脊柱に著しい変形を残すもの
・脊柱に中程度の変形を残すもの
・脊柱に変形を残すもの
上記の三段階で等級が認定されており、脊柱に中程度の変形を残すもの、が新たに追加されました。

脊柱に変形を残すもの、とは以下に該当するものです。
・脊椎固定術が行われたもの
・脊椎圧迫骨折等を残しており、それがレントゲン等画像によって確認できるもの
・3椎以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

中高年の胸腰椎の圧迫骨折では、陳旧性か、外傷性かが問題となります。
陳旧性とは、事故前に発症している「いつのまにか骨折」のことです。
これを見極め、立証するためにはMRI画像の検証が欠かせません。
新鮮骨折では、事故直後のT2強調画像で炎症が白く描出されます。

圧迫骨折では多くで脊柱の変形を理由に11級7号が認定されていますが、運動痛、可動域制限などの神経症状、機能障害は11級7号ら含まれての認定となっています。
後遺障害診断書の自覚症状の欄には、これら神経症状について正確に落とし込んでおかなければなりません。
脊柱の変形のみでの認定であれば、その後の賠償交渉で逸失利益の評価がゼロ評価となるためです。
症状固定時には、画像の検証、後遺障害診断書の内容の検証を含め、慎重には慎重を期さなければなりません。

前後椎の変形が50%以上のときは、著しい変形として8級2号が認定されます。
変形の計測法についても確認しておかなければなりません。
圧迫骨折は画像で一目瞭然、と立証について安易に考えていると、思わぬところで足をすくわれてしまいます。
立証にはしっかりと臨まなければなりません。

肩腱板損傷の立証とポイントについて

肩腱板とは

肩関節は骨同士が軟骨で接する関節面が小さく、腱板と呼ばれるベルトのような組織が上腕骨頭の大部分を覆うようにカバーしています。
腕を持ち上げるバンザイでは、腱板は肩峰、肩甲骨の最外側や靭帯からなるアーチの下に潜り込む仕組みとなっています。
アーチと腱板の間には、肩峰下滑液包があり、クッションの役割を果たしています。
疎部

立証について

腱板の断裂では、激烈な痛みと腫れの症状が出現します。
したがって、このような症状が伴わないものは事故受傷による腱板の断裂ではありません。
車同士の追突事故による腱板損傷も、受傷機転の観点から通常ありえず、認定されません。

断裂があるときは肩関節造影を行うと、肩関節から断裂による造影剤の漏れが確認できます。
エコーやMRIでも断裂部の確認は可能です。
腱板は、肩峰と上腕骨頭の間に存在し、常に圧迫を受けており、年齢とともに変性をきたします。

肩腱板の部分損傷は、若年者であれば多くのケースでリハビリ治療により治癒します。
事故直後は痛みが強く、肩の可動域は制限されますが、疼痛管理で炎症を抑え、さらにリハビリで肩の可動域を改善していくことが大切となります。

肩腱板の広範囲断裂では、どの姿勢でも痛みが激しく、夜間時痛で眠れない場合や腕の運動時痛が耐えがたい場合は、腱板修復術が適用されます。
しかしながら、中年以上の場合などでは、肩関節の拘縮が懸念されるため、安静下で外固定が実施されるケースがほとんどです。
その場合は、後遺障害の認定が想定されます。

肩腱板断裂は、MRIやエコーで立証しなければなりません。
医師がレントゲンで肩峰と上腕骨頭の裂陵の狭小化をもって腱板損傷を診断したとしても、損保料率機構調査事務所は腱板損傷を立証したとは認定してくれません。

等級は、多くのケースで肩関節の機能障害で12級6号の認定を模索していくことになりますが、腱板の広範囲断裂、肩関節脱臼、鎖骨の遠位端粉砕骨折等を合併しているケースでは10級10号の可能性も精査する必要があります。

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肩腱板疎部損傷について

腱板疎部ローテータ・インターバルは、 棘上筋と肩甲下筋の間に存在する隙間であり、関節包が存在していますが、腱板が自由に収縮・伸展・回転するための遊びの部分であり、棘上筋と肩甲下筋のつなぎ目に位置していて、転倒時の打撲などで、捻挫や軟部組織の損傷を受けやすい部位です。

腱板疎部損傷の症状は、若年層の不安定型と、35歳以上の拘縮型の2種類です。
不安定型は若年層に多発し、主たる症状は損傷部である腱板疎部の著明な圧痛で、外転、外旋位で運動痛が増強します。
その他には、肩のだるさや肩から上肢にかけてのしびれ感など肩の不安定性に起因する訴えが多く、他覚的には肩関節の下方への緩みが認められます。
XPでは、挙上位で、肩関節のスベリが見られます。
拘縮型は、年齢層が比較的高く、平均35歳以上であり、肩関節の拘縮=挙上、外旋の可動域制限と運動での疼痛が主な症状となっています。

腱板疎部の損傷は、腱板周囲の組織つまり肩甲下筋や棘上筋の不均衡や鳥口上腕靭帯を含めた関節包や関節上靭帯や滑液包炎あるいは上腕長頭筋などに影響を与え、腱板の血行障害、加齢による変化、関節包内圧の変化などが加わると、不安定肩や50肩に代表される凍結肩に発展します。

治療は、肩甲骨の動きを改善する、後方の関節包のストレッチを行い、前後の緩みのバランスをとることで症状は改善するのですが、保存的治療を十分に行っても肩関節機能の改善の得られないときは、腱板疎部縫縮術が行われることがあります。

腱板疎部損傷の立証について

腱板疎部損傷では、これまで、全件が非該当になっています。
腱板疎部損傷を3DMRIで立証していましたが、それでも非該当です。
おそらく、この傷病名を理解していない調査事務所が外傷性のものではないと判断したものと予想されます。
訴訟提起も検討されたのですが、被害者側の事情により、現在のところは断念しています。

疎部

腓骨神経麻痺について

腓骨神経は下腿を走行する神経で、坐骨神経から腓骨神経と脛骨神経に分かれます。
腓骨神経は膝の外側を通り、腓骨の側面を下降して足関節を通り、足指に達します。
膝を強打することによって発症しやすく、また足関節も好発部位です。
傷病名が前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、脛骨顆部のプラトー骨折、足関節の内外果骨折、下腿骨の遠位端骨折、などで足関節が下垂している場合は、注意が必要です。

症状について

腓骨神経は足関節と足指に支配領域があり、腓骨神経断裂では自力で足首や足趾を曲げることができなくなります。
足関節は下垂足の状態となり、自力で背屈ができません。
断裂は非可逆性で、改善はあまり期待ができません。
具体的には、靴下や靴がうまく履けない、右足の場合は右足ででアクセルやブレーキを踏めない、スリッパはすぐに脱げてしまう、走行不能、正座不能、常時杖や松葉杖が必要、などの状態となります。

深刻なのは疼痛と筋拘縮です。歩くことも困難で日常生活を送るにも非常に不便なため、足首を固定する距踵関節固定術を行う場合があります。その場合、足関節の可動域は失われます。

立証について

受傷からなるべく早期に腓骨神経麻痺の可能性を指摘し、神経伝達速度検査で立証していく必要があります。
また、脱神経所見は健側と患側で比較して立証しなければなりません。

次に、可動域については必ず自動値での計測を医師に求めなければなりません。他動値だと正常を示します。
また、前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋、腓骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋について徒手筋力テストを受け、左右差を比較しておく必要があります。

腓骨神経麻痺